HMR HONDA(エイチエムアールホンダ)のイシケンです。タイムアタックシーズンに入ってから精力的に走りこんでいるデモカーのS2000ですが、先日富士スピードウェイに行って2分1秒台のベストを更新してきました。デモカーは富士でノーマルエンジンのまま2分を切りたいと作っている車両で、近づいてきました。
今回富士の走行に向けて事前にいくつかの仕様変更を施したので、その作業と合わせて富士テストのご紹介します。
HMR S2000 ハイレート仕様に変更
前回の富士テストで浮き彫りになった課題として、アンダーが強いということとブレーキのバランスが悪いというのがありました。ブレーキバランスが前よりになっていて、S2000はリアの浮き沈みでのトー変化が大きいため、とてもピーキーな動きになってしまいます。そこで、フロントは純正キャリパーに戻しました。その作業の様子は「デモカーS2000、ノーマルキャリパー&CSOビッグローターキットに変更」にてご覧ください。
この状態で先日筑波サーキットに行き挙動のチェックをしてきました。とても素直な動きになってくれてブレーキバランスとしてはGOODな感じでした。これまではブレーキを少しでも残すとリアが滑り出す感じでしたが、その動きは出なくなりコーナーを奥まで突っ込むことができました。
その時の筑波の様子はこちらから。
そして今回はリアのトー変化をさらに抑えるためにハイレート化しました。リアのサスペンションレートを現在の20kgから22kgに変更し、リアスタビをAP2純正からAP1前期純正に戻しました。
S2000AP1前期のスタビは一番径が太いタイプのため、マイルドに乗りたい方はAP2純正がおすすめですが、ハイグリップタイヤを装着してよりロールを抑えたい場合はスタビのレートアップは必要になるであろうと考えます。これらのハイレート化に合わせて、タイヤをよりハイグリップなタイヤに変更しました。元々はディレッツァZ3です。これからクムホのV700に変更です。見ての通り中古です。当社のレースカーであるBRZで使用していたお古です。昨年それなりに使い込んだタイヤですが、それでもZ3よりはグリップするであろうと思って組み替えました。これらのセットで改めてアライメントを測定調整しました。前後ともキャンバーはマイナス4.5度です。トーはリアはイン10分、フロントアウト20分です。 こんな感じのセットで富士スピードウェイに持ち込みました。
HMR S2000 富士スピードウェイテスト
走行した日の富士スピードウェイは冷え込んでいて天気は良くという絶好のコンディションでした。富士山も綺麗ですね。合計3本の走行を予定しており、主に前後の減衰力をどの位置にセットするかと、このハイレート仕様での走らせ方を習得するのがテストの目的でした。1本目の走行走り始めからこのハイレート仕様のフィーリングがいいというのを実感しました。リアの動きが抑制されてクイックに曲がるのと、リアのスタビをハイレートにしたのでアンダーが消えてノーズの入りがとても良くなりました。リアの減衰力は最弱からスタートしました。全体的なフィーリングはいいのですが、この状態ですとターンインの時にフロントが入った後リアがついてきていない感じで、特にAコーナーの切り込みはゆっくり切らないと滑り出しそうな感じでした。そこでリアの減衰を2ノッチアップして再度コースイン。想定通りターンイン時のリアの安定感が増しました。そしてまだまだ固めた方が良さそうなので、さらに1ノッチ上げました。これもとてもいいフィーリングでした。2本目ではさらにリアの減衰力を1ノッチアップして最弱からは4ノッチ上げでスタートしました。これまたフィーリングが良くなりました。リアが物凄く安定してノーズの向きに応じて追従してくれる感じです。そして、ストレートでのブレーキングにも効果があり、ブレーキポイントをつめていけるようになりました。装着している車高調は伸び縮みを別に調整できるタイプではないので、減衰力を上げればどちらも上がります。そのため、リアの伸び側も減衰が高くなるのでノーズダイブが抑制されるのでしょう。 この枠でこれまでのベストを更新し、2:01.639が出ました。これまでのベストは2分2秒4くらいでした。そして、その後にピットインして、さらにリアの減衰力を1ノッチ上げて、フロントも1ノッチ上げました。フロントは最強から3ノッチ戻しでスタートしているので、これであと2ノッチだけです。リアは最弱から5ノッチ上げです。 さらにフィーリングが良くなり、ベストを更新して2:01.451を出しました。 走り方としては、コーナー侵入は奥まで突っ込んでブレーキをガツンと踏み、クイックに向きを変えて立ち上がっていくという感じです。これまではこのような操作をしようとするとリアが滑り出すのでゆっくりとブレーキを踏んで前荷重に移していました。それが、レートアップしたことによってガツンと強くブレーキを踏んでスピードを落としてステアリングを切っても、リアが少しスライドするくらいでついてきてくれるようになりました。これによって少しのスライドで向きを変えて立ち上がれるので、アンダーも消えてとても走りやすいセットになった感じです。 最後の3本目では、さらに減衰をアップしてみようということで、フロントのみ1ノッチ上げました。フロントは最強から1ノッチ戻し、リアは最弱から5ノッチ上げの状態です。 これもまたフィーリング的にはいい感じ。たぶん、まだまだ上げても良さそうな感じですね。タイム的にはベストを更新しそうでしたが、この枠は台数が多くてうまくクリアが取れずに3本目は終わりました。今回のテストでハイレート化したことの方向性は間違っていなかったことが証明されました。そして、もっとハイレートにしてもいいのではないかとも思います。 今のところ突っ張って滑り出すという雰囲気はありません。フロントはすでに22kgのバネをオーダーしているので、まずはフロントを固めるところから次はスタートしたいと思います。あと、先日の筑波でも課題でしたが、ギア比が合いません。ファイナル4.7が入っていますが、いくつかのコーナーでレブまで回っていてロスしています。100Rも途中で4速レブまで回り、行けるのに戻している状況です。第3セクターもそんな感じでロスしているコーナーが2か所あり、これらの改善でもタイムは変わりそうだなと思っています。 また、1コーナーのブレーキングがグングンつまっていき100m看板手前くらいまでつまりましたが、ブレーキペダルのストロークもなかなかの踏み込み量になってきていました。いつもサポートしてくれているアクレさんに連絡して、フロントパッドをレーシングパッドに変更した方がいいとアドバイスをいただき早速注文しました。
まだ2分を切れるかどうかというところまでは1秒45ありますが、少しずつ見えてきましたね。まだ課題が多いのでそれらを解決したら行けるのではないかと思ってます。次回に向けては以下のことを変更します。
・フロントサスペンション20kg→22kgに変更
・フロントブレーキパッドをストリート兼サーキットパッドからレーシングパッドに変更
・ファイナルを4.7から4.4に変更
あと、今回の走行をデジスパイスで検証したところ、前回までのベストの時と比較してトップスピードが7km遅くなっていました。そこでのロスはタイムにして0.6秒ほどです。これはかなり大きいですね。タイヤがハイグリップになった分パワーを食われている可能性が高いです。ここの対策は上記のセット変更後にテストしてスピードを回復させたいと思います。 最後にこの日のテストの様子をYoutubeにアップしているのでぜひご覧ください。ベストのインカーも出しています。
S2000の買取相場はこちら
S2000の中古車一覧はこちら
HMR HONDA店舗情報
TEL:042-568-1388 FAX:042-568-1389
contact@hm-r.co.jp
〒190-1222
東京都西多摩郡瑞穂町箱根ヶ崎東松原11-5