HMR HONDA(エイチエムアール ホンダ)のメカニック ムラマツです。今回は夏のFuji‐1GPで活躍してくれたHMR HONDAの新たなデモカーインテグラTypeR(DC5)の制作風景第一弾を紹介します!7月のエビスサーキットテスト、FSWでのテストと8月のFuji‐1GPと無事に走行してくれたDC5ですが、制作にあたってはコスト削減の為格安パーツ・中古パーツ満載、そして突貫工事の連発でした(笑)
ベースにしたのは事故車で安く購入した後期モデルのどノーマルDC5です。フロント事故の為フロント廻りを板金屋さんで修理してもらいましたが、ヘッドライト・フェンダー・エアロボンネットは全て中古です。バンパーはノーマル新品より安かったのでC-WEST製の新品を投入しました!バンパーとボンネットだけで一気にチューニングカーの雰囲気です♪
冷却系を強化 アルミラジエター・ローテンプサーモスタット・SAMCOホースを装着
サーキット走行を前提としてパーツを投入していきますので、冷却系はマストで手を入れます。特にK20A搭載車は水温にシビアですので安定・安心して走る為にもキッチリと作業します。真新しいバンパービームが事故車感出てますね、、、ラジエターサポート廻りを取り外し、純正ラジエター・ラジエターホースを外します。
サーモスタットも交換します。ラジエターを外したタイミングならサクッと外せますが、単体で外すのはかなり難儀します、、、
サーモスタットはSPOONのローテンプサーモスタットを投入します。開弁開始温度が78度から70度になり早期に冷却水をラジエターに循環させます。純正形状なのでポン付けです。
そしてラジエターはトラスト製のアルミ製2層ワイドチューブ式ラジエターです。採用の理由は大容量・アルミ製で一番安かったからです!(笑)
ファンスイッチはSPOONのローテンプを装着します。冷却ファンの作動が93度から80度に下がります。ローテンプサーモスタットと併用で効果を発揮しますが、ストリートではオーバークールになる事もあるので注意が必要ですね。
ラジエターホースは信頼と実績のSAMCOホースです。これでラジエターキャップをハイプレッシャータイプにしても安心ですし、見た目もCOOLになりますね。
各パーツを装着して冷却系はひとまず終了です。
ワンオフエンジンオイルクーラー・HPIミッションオイルクーラーを装着
続いて冷却系の第二弾です。今回のDC5はFuji1‐GPなど長時間走行する事も想定していたので、連続周回する為にエンジンオイルとミッションオイルクーラーを装着します。スプリントレースや短時間の走行会であれば重量増となってしまい装着する必要はあまりありませんが、レースや練習走行で長時間走行するとなるとエンジン・ミッションブローに繋がりかねません。ましてやデモカーDC5は13万キロ超えノーオーバーホールのお疲れ車両です。安心して走行する為にも今回はオイルクーラーの導入となりました。いずれもDC5専用のオイルクーラーキットはほぼ無くパーツを一つ一つ集めて制作する事になりました。そしてこのデモカー作成でも一番時間のかかったパートになります、、、まずはエンジンオイルクーラーからです。本当は大手ブランドさんのパーツで揃える予定だったのですが試算してみるとかなりの金額に、、、そこでお試し的な感じも含めて通販やオークションでパーツを入手しました。メインとなるクーラーコアはなんと8,000円です!オイルホースもホースとフィッティング各種を含めて約10,000円とかなりリーズナブル。
早速取付を進めていきます。クーラーコアはラジエターへの影響が少なく風がなるべく当たる場所が理想となりますが、いろいろ検討した結果バンパービーム下になりました。というかサイズ的にココしかありません、、、本来はステーなど作成して装着する予定でしたが時間がなく突貫工事だったのでバンパービームに制振材を挟み直止めです(笑) エンジンオイルクーラー関連でもっとも高価なのがGreddyのオイルブロックです。サーモスタット内蔵タイプですのでオーバークールを防いでくれます。オプションで油温と油圧センサーが取付られますが、今回はスペースの関係でオイルブロックに追加メーターのセンサーは装着出来ませんでした。 FD2シビックに比べたらスペースは十分ありますが、それでも激狭のオイルフィルター部分です。ここにオイルブロックを装着してクーラーコアへとホースを繋げます。ちなみにオイルフィルターの土台になっている所は純正の水冷オイルクーラーになっています。そしてゴムホースの隙間にチラっと見えているのは同時進行中のDefiの油圧センサーです。純正の油圧センサーを撤去してエンジンブロックに直接Defiのセンサーを取付ます。 狭すぎて写真が撮りづらいです、、、同時に作業していたメカニックのモリヤマとホースの取り回しを何度もやり直し、ようやくオイルブロックとホースの組み付けが出来ました。もちろん既製品ではないのでホースの切断からフィッティングの組み付けも全てセルフ作業です、、、 ドライブシャフトやサスペンションアームをかわす位置を探りながらホースをクーラーコアへと装着します。なんだかこれだけでレーシーでカッコいいですね♪大苦戦の末ひとまずエンジンオイルクーラーは完成です。 続いてミッションオイルクーラーです。こちらはパーツ単品で集める方が難しかったのでHPI製のミッションオイルクーラーキットを使用します。とは言え汎用品ですので何一つすんなりとはいきません!こちらもかなり苦難の道となります、、、 エンジンオイルクーラーはエンジンのオイルポンプの圧力を使いオイルを循環させますが、ミッションオイルにはオイルポンプは無くただクーラーを装着してもオイルは循環しません。そこで電動のオイルポンプを装着して強制的にミッションオイルを循環させます。 オイル量はエンジンオイルに比べて少ないのでコアも小型になります。写真の丸い筒はオイルフィルターです。エンジンオイルと違いミッションオイルにフィルターはありませんので、電動ポンプやクーラーコアを保護する為にオイルフィルターも付属しています。 クーラーコアはやはりココへ、、、というかやはりココしかありません!(笑) ミッションオイルの出し入れは専用のアタッチメントを使用してドレンボルトとフィラーキャップから行います。 こんな感じで接続します。こちらもドライブシャフトが通っているので当たらない位置を探りながら固定していきます。 一番の悩み処がオイルポンプの設置場所です、、、ホースが無理なく取り廻せて安定して固定出来る位置が必要です。何度も仮組してようやくベストポジションが見つかりましたが、オイルフィルターだけはどうしようもなく、暫定でサブフレームにタイラップ固定となりました、、、 ホースを接続して設置は完了です。ちなみにミッションオイルの交換は毎回ホースとアタッチメントを外さなければなりません、、、効率が悪すぎるので改善したいポイントですね。 オイルクーラーの設置が出来たら、電動ポンプ用のスイッチを車内に取付ます。というのも常時ポンプを作動させておくと、冷間時はオイル粘度が固くポンプに負担がかかり故障してしまいます。オイルが温まってから循環させるように手動のスイッチで操作します。ホームセンターで仕入れた汎用スイッチをそれっぽく取り付けてみました♪ レーシングユースなので使いやすいのが一番です。オイルが温まったらポンプをONにという話でしたが、実際ミッションオイルに関しては走行中何度になっているのか知る機会がありませんでしたので、オイルクーラーのホースの途中にセンサーを付けてミッションオイルの温度を計測出来るようにしました。こちらは温度だけ分かれば良いのでコストダウンで海外製メーターを装着しました。シンプルですが必要十分といった感じですね。
サーキット走行のマストアイテム 無限オイルパンを装着
サーキットなどでの横Gが掛かった際にエンジンオイルのエア吸いを防ぐ為、バッフルプレート付きのオイルパンを装着します。オイル内にエアが入ってしまうとヘッド廻りのパーツが油膜切れを起こす可能性があり最悪エンジンブローに繋がってしまいます。サーキットを本格的に走るのであればマストで投入したいパーツですね。今回は無限製を用意しましたが、もちろんコスト重視です! オイルパンの内部はこんな感じになっています。後付けされたプレートがオイルの偏りを防いでくれます。 取付にはサブフレームを降ろす必要があるので意外と大変だったりします、、、オイルパンを外すと見えてくるのがオイルポンプとオイルストレーナーですね。ここからオイル吸い上げてエンジン内に循環させます。 ノーマルと付け替えて取付完了です。取付てしまうとノーマルとの違いが全く判りませんね、、、最後にリフレッシュと高負荷でも耐えられるようにHKSの強化プラグを投入します。後々のアップデートも見越して8番相当のプラグへ交換しました。これで冷却系とエンジン回りの強化は一通り終了です。なんにせよこの時点ではオイルクーラーがオイル漏れしないか不安でいっぱいでしたが、後のエビスサーキット・富士スピードウェイでのテストでは特に漏れる事もなく安定した温度を維持してくれ、ノーブランドの格安パーツでも意外と使える事が分かりました。後は耐久性をチェックしていきます。
次回、第二弾では足回りとブレーキ関係、内装系の強化を紹介します♪
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