インプレッサWRX STI(GDB)の涙目(アプライドモデルCDE型)とはどんな車か?
8&B HMR(エイトアンドビーエイチエムアール)のモリヤマです。前回に続きインプレッサWRX STIの紹介をしていきます。前回は丸目と呼ばれるアプライドAB型を紹介しました→インプレッサWRX STI(GDB)の丸目(アプライドモデルAB型)とはどんな車か?今回はアプライドC~E型、涙目と呼ばれるモデルです。GDBの中でも3つのアプライドに渡り販売されていたため、台数も多く出回っているモデルです。またC型/D型とE型でホイールPCDが変更されるなどアプライド内でも大きな年改が行われたモデルでもあります。こちらも各モデルの紹介の後に中古車相場や中古車選びのポイントを紹介していきたいと思います。私が以前GDBを購入しようと探していた時は価格もまだ高くとても手が出ないモデルでしたが、最近では球数も多く価格も安くなってきたので、GDBの中でも狙い目なモデルだと思います。
インプレッサWRX STI(GDB) C型
アプライドC型は2002年11月から販売されたモデルで、フロントバンパーの開口部の変更などを受けてヘッドライトの形状を変更し、涙目と呼ばれるフロントマスクへチェンジしました。エンジン出力は自主規制の280hpですが最大トルクは40.2kg-mにアップしました。
エクステリア
エクステリアでの変更点は、なんといってもヘッドライト形状の変更による涙目フェイスになったことが第一に挙げられますが、この変化はフロントバンパー開口部のデザインの変更による冷却効率の向上が前提となっています。このフロントマスクの変更でスポーツカーらしい迫力のあるフロントマスクを手に入れたC型の人気は急上昇したと言われています。(個人的には丸目デザインが好みですが・・・)またフロントコーナースポイラーやサイドスポイラー、WRカータイプのリアウイングの採用により空力性能も向上しています。ボディカラーはAB型から変わらずブラックトパーズ・マイカ/ピュアホワイト/プレミアムシルバー・メタリック/WRブルー・マイカの4色です。
インテリア
インテリアはAB型のデザインを世襲しつつ、メーターにDCCDデフロックインジケーターが追加され、文字部にLEDを使用した常時発光式レッドルミネセントメーターを採用し、視認性を向上しました。またシートも構造の見直しなどにより軽量化がされ、ステアリングは3本スポークのデザインに変更になりました。室内のデザインはステアリングの変更でよりスポーティーな感じになっています♪
シャシー
C型になりシャシー面では若干の変更があり、リアのトレーリングアームのブラケットの取り付け位置が若干上になりました。これによりリアの動きがよりスムーズな動きになりました。
サスペンション
サスペンションについては大きな変更はないが、リアのサスペンションのアッパーマウントがスチール製だったものがゴム製に変更になり剛性の向上やサスペンション周りからの防振、防音対策がされました。
エンジン
エンジン周りではツインスクロールタービンを採用してタービンの稼働効率が向上しています。エキゾーストもAB型の不等長エキマニから等長エキマニへ変更され、「ボクサーサウンド」と呼ばれた排気干渉による独特の排気音はなくなりましたが、高回転までスムーズに回り、低回転でのトルクとレスポンスがアップしています。タービン容量は小さくなっていますが、最大トルクはついに40.2kg-mとなります。エンジンパワーに対応するため、高強度鋳造ピストンの採用やシリンダーブロック、コンロッド、クランクの強度を上げています。個人的にはスバル=ボクサーサウンドという考えがあるので受け入れ辛い部分ではありますが、走らせてみると確かにGR/GV型のようにはいきませんが、低速からのトルク感もありブーストが立ち上がればグングン前に進んでいく加速力も健在です。AB型に比べとても扱いやすくなっています。
トランスミッション
トランスミッションはスバル初となる電子制御付きDCCD4WD方式を設定。DCCDにはオートモードが設定され、横Gセンサーなどの情報を元に走行中に最適なロック率に制御してくれます。またトランスミッションの更なる強度アップや構造などの見直しによる軽量化も行われました。
GDB-A~B型からの変更点
・フロントバンパーの開口部デザインの変更によりヘッドライトは丸目から涙目に変更
・ステアリングが3本スポークデザインに変更
・等長エキマニ、ツインスクロールタービンの採用により低速トルク、レスポンスが向上。最大トルクは40kg-mにアップ
・DCCDにオートモードが追加。走行中にロック率を自動で制御することにより走行性能アップ
・サスペンションやアーム類などのマウントや取り付け位置の見直し
・高強度鋳造ピストンやシリンダーブロックなどの強度向上
・トランスミッションは構造の見直しによる軽量化、各部品の強化
インプレッサWRX STI(GDB) アプライドD変更点
2003年9月に涙目モデル初の年改が行われ、アプライドDとなりました。アプライドDでの変更点は主に競技仕様のSPEC Cに行われました。
・SPEC CのボディカラーにWRブルー・マイカが追加
・SPEC Cの16インチブレーキに改良が加えられ、熱容量が向上
・WRX STIにオーディオレスが追加
・フロントシートのスライド調整部がタオルバータイプに変更
インプレッサWRX STI(GDB) アプライドE変更点
2004年6月の年改でアプライドEとなり、涙目モデルでは大幅な改良が加えられました。
・ハブベアリングのサイズを拡大して強化、またホイールPCDを114.3に変更
・DCCDのオートモードの制御にヨーレートセンサーを追加
・DCCD付トランスミッションのFデフにヘリカルLSDを採用
・リアサスのラテラルリンクをアルミ製に変更
・インタークーラー吸気ダクトの大型化
・インタークーラーの構造変更により冷却効率が向上。最大トルクはSPEC Cで42.0kg-mに向上
・リアフェンダーの形状変更によりホイールリム幅が8インチになり、タイヤサイズは235/45/R17に拡大
涙目モデルの限定車
WRX STI SPEC C Limited
2003年4月に競技仕様のSPEC Cをベースにパワーウインドウ、マニュアルエアコン、電動格納ドアミラーを装着して日常での快適性を追加したモデルで、1000台限定で販売されました。
2003 V-Limited
2003年12月にWRCでのドライバーズチャンピオン獲得を記念して555台限定で販売されたモデルで、PCWRCにて活躍した新井敏弘選手のチューニングした減衰力調整式サスペンションやSTI製エアロパーツを装着しています。
WR Limited 2004
2004年7月にラリージャパン開催記念で期間限定販売され、SPEC Cをベースにフロントコーナースポイラー、フロントアンダースカート、WRカータイプの大型リアスポイラーにRAYS製鍛造17インチホイールを装備したエアロチューンドモデルです。
STI SPEC C TYPE RA
2004年10月にSPEC Cをベースに専用サスペンション、カーボン製リアウイングを装着し、フルオートエアコンや集中ドアロックなど、快適装備も追加されています。
S203
2005年1月にWRX STIをベースにSTIがチューニングしたSシリーズの3台目です。555台限定で販売され、専用の大径ボールベアリングタービンやチタンマフラーの装着によりエンジンパワーは320hp、最大トルクは43Kg-mまで高められました。サスペンションも減衰力調整式倒立ダンパー、専用コイルの採用により車高は15ミリダウン。エクステリアにもドライカーボン製フロントリップスポイラー、リアウイングを装着しており、インテリアにはRECARO社共同開発の専用シートが装着されています。
中古車相場
2020年5月現在で、10万キロを超えて15万~20万キロの車両では70~80万円台の車両もあり、修復歴ありであれば10万キロ~15万キロの車両でも90~110万円程で購入できます。人気のWRブルー・マイカでは10万円ほど差が出てくるようです。修復歴無しの10万キロ付近の車両では120~140万円と少し高くなります。5万~8万キロの車両では150~180万円台と200万に近くなっています。またSPEC CやS203などの限定車では200万を超えるプライスとなっています。丸目モデルのAB型に比べて球数は多く、中古予算としては走行距離やアプライドモデルに拘らなければ100~120万円程で購入できます。ですが走行距離やホイールPCDなどの年改があったアプライドEなどを狙うのであれば180〜200万円を予算としましょう。
中古車選びの注意点
特に気を付けたいのは、2002年11月~2004年5月までのアプライドCD型で、AB型と同じくハブベアリングがウィークポイントとなっています。10万キロに近い車両やサーキット走行をしていた車両で、交換歴のない場合はガタが出てている可能性があるので、そういった所もチェックされている車両を選びたいです。また、ラジエターのアッパータンクが樹脂製タンクのため熱や経年劣化により割れやすいので注意が必要です。エンジンのヘッドカバーからのオイル漏れも水平対向エンジンでは定番症状です。購入前に症状が出ているか確認したいですね。
アプライドCDE型のまとめ
GDB-CDE型はフロントフェイスの変更により人気が再燃したモデルでした。WRCでの活躍やラリージャパン開催など生産期間中に多くのイベントがあり、限定モデルも多く設定されました。等長エキマニの採用によりボクサーサウンドは失ってしまいましたが、変わりに大幅にトルクが向上してより扱いやすくなりました。市場に出ている球数も多く、100万円台で購入できるスポーツカーとしてはかなり高性能だと思います。AB型のように極端に尖った挙動も抑えられているので、初めてのマイカーでスポーツカーの楽しみを味わいたい!という思いのあるユーザーにもおススメできる一台だと思います。