更新日時:2025/10/15
こんにちは。HMR広報の小川です。今回紹介するのはトヨタ 86の双子の兄弟、スバル BRZ。BRZはスポーツカー市場に元気のなかった2012年に、トヨタとの共同開発によって誕生したFRスポーツです。企画はトヨタが主導しましたが、その開発と生産はスバルが担当。その心臓部にはスバル伝統の水平対向「ボクサーエンジン」が搭載されています。コンセプトは86と共通の「誰もが楽しめるピュアドライビング」。軽量・コンパクトなFRパッケージで、クルマを操る根源的な楽しさを現代に蘇らせた、歴史的にも重要な一台です。
基本骨格は86と共通ですが、専用デザインのフロントマスクによって、BRZは独自の個性を放っています。BRZのフロントバンパーには、スバルのデザインアイコンである「ヘキサゴングリル」が採用されています。86の大きな逆台形グリルと比較して、よりクリーンで落ち着いた、安定感のある佇まいが特徴です。
ヘッドライト内部のポジションランプはコの字型に点灯し、サイドのフェンダーガーニッシュもBRZ専用のデザイン。細部へのこだわりが、86とのキャラクターの違いを生み出しています。
ドライバーオリエンテッドなコックピットは、走るための機能性と日常の使いやすさを両立しています。基本レイアウトは86と共通ですが、BRZのメーターは中央のタコメーターが白地になっており、よりスポーティで視認性の高いデザインとなっています。アクセルワークに連動して、気持ちの良い吸気サウンドを意図的にコックピット内に導入するデバイスを搭載。NAエンジンならではのサウンドをダイレクトに感じることができ、運転の楽しさを聴覚からも増幅させます。
BRZの心臓部には、スバルの技術の粋を集めた2.0L 水平対向4気筒エンジン「FA20」が搭載されています。2.0L 水平対向4気筒NA / 最高出力 200PS 7,000rpmで最高出力を発生する高回転型のユニットです。NAならではの素直なフィーリング 。ドッカンとくるようなパワーはありませんが、アクセル操作に対してどこまでもリニアに反応する素直なフィーリングが最大の魅力。「思うがままに操れる」この扱いやすさこそ、現代のクルマでは得難い価値を持っています。
ピストンが水平対向に動くボクサーエンジンは、構造的に全高が低く、クルマの重心を劇的に下げることができます。この「超低重心」こそが、BRZの卓越したハンドリング性能の核となっています。
BRZと86の最大の違い、それは走りの「味付け」にあります。安定性重視のサスペンションセッティング 86が意図的にリアを滑らせて楽しむ「オーバーステア」志向なのに対し、BRZはフロントを柔らかく、リアを硬めに設定することで、コーナーでの「安定性」を重視。誰が乗っても安心して限界まで攻められる、懐の深いセッティングになっています。
軽量・低重心なシャシーと、フロント:ストラット、リア:ダブルウィッシュボーンという優れたサスペンション形式が、スバルならではの安定志向のセッティングと融合。FRの楽しさとAWDのような安心感を両立しています。
ダイレクトな操作感が楽しい6速MTに加え、スポーツ走行でもストレスのない素早いシフトチェンジが可能な6速ATもラインナップ。イージードライブと走る楽しさを両立したい方にも最適です。
BRZと86、そこに絶対的な優劣はありません。あるのは、ドライバーの好みや走り方に合わせたキャラクターの違いです。「安定志向で懐の深いBRZ」か、「やんちゃで振り回して楽しい86」か。星の数ほどあるアフターパーツでのカスタムはもちろん、86との純正部品流用チューンも楽しめる。走りの楽しさと日常の実用性を一台でこなせる、現代における貴重な万能選手。どちらを選ぶか、そしてどう育てていくか。その選択肢の多さこそが、この兄弟車の最大の魅力と言えるでしょう。