更新日時:2025/10/15
こんにちは。HMR広報の小川です。今回は、タイプRと同じ赤ヘッドK20Aを搭載しながら上質さと実用性をも両立した隠れた名車、アコードユーロR (CL7)の魅力に迫ります。アコードユーロRは、その名の通り「セダンとしての扱いやすさと、欧州車のようなスポーツ性能の両立」を目指して開発された特別なモデルです。日本ではタイプRが設定されなかった7代目アコードに、その代わりとして投入された、もう一つの「赤ヘッド」搭載車。中身はタイプR譲りの一級品でありながら、知名度やボディ形状から中古車市場では比較的落ち着いた価格帯を維持しています。今、最もコストパフォーマンスに優れたVTECマシンと言っても過言ではないでしょう。
ベースとなる7代目アコードの流麗でシャープなセダンスタイルを活かしつつ、全身に専用のエアロパーツを纏うことで、知的なアスリートのような佇まいを演出しています。タイプRほど攻撃的ではありませんが、このクルマが特別なモデルであることを静かに主張します。
2005年のマイナーチェンジを境に、前期型と後期型でデザインが異なります。フロントバンパーやグリル、テールランプなどが変更され、より精悍でシャープな印象になった後期型が市場では人気が高い傾向にあります。
前期
後期
ドアを開ければ黒を基調としたシックな空間の中に、タイプR譲りの本格的なスポーツ装備がドライバーを待ち受けます。体を確実にホールドするRECARO社製バケットシートや、握りやすいMOMO社製本革巻ステアリング、そしてアルミ製シフトノブやメタル製ペダルが、ドライバーの気分を高揚させます。
このクルマ最大の美点が、タイプRでは犠牲にされてきた後席の居住性とトランクの積載性です。大人5人が快適に乗れる広々とした室内空間と十分な容量のトランクルームを確保しており、一台でファミリーユースからスポーツ走行までこなせます。
ユーロRのボンネットの下には、タイプR伝統の赤いヘッドカバーを持つ、特別なチューニングが施された名機「K20A」が搭載されています。2.0L i-VTEC / 最高出力 220PS 。リッターあたり110馬力を発生する高回転・高出力ユニットです。もちろん、低回転から高回転まで全域でパワフルなi-VTECの美点は健在です。
DC5インテグラRやFD2シビックRのK20Aにはない、エンジンの振動を打ち消す「2次バランサー」を搭載。これにより、高回転まで驚くほどスムーズで振動が少なく、高級セダンにふさわしい上質な回転フィールを実現しています。まさに「紳士的なK20A」と言えるでしょう。
ユーロRの足回りは、サーキットに振り切ったタイプRとは一味違う、絶妙なバランス感覚でチューニングされています。7代目アコードのラインナップでは唯一無二となる、6速マニュアルトランスミッションを搭載。小気味よく決まるシフトフィールと、パワーバンドを外さないギア比が、意のままのドライビングを可能にします。
高剛性ボディに、専用チューニングが施されたサスペンションを組み合わせ、タイプRほどハードではないもののワインディングを駆け抜けるには十分なスポーツ性能を確保。街乗りでの快適性も失わない、絶妙な乗り味に仕上げられています。
アコードユーロR CL7が、なぜこれほど高性能なのに手頃な価格で手に入るのか？それは「タイプR」という名前がないこと、そして「セダン」というボディ形状だからに他なりません。しかしその中身は、タイプRの魂（K20A）とセダンの実用性を両立させたい大人にとって、まさに理想的なパッケージング。豊富なアフターパーツで、自分好みの「タイプRに劣らないユーロR」を作り上げる楽しみも。今、ホンダVTECの真髄を味わうならこれ以上ないほど賢く、そして満足度の高い選択肢です。
