更新日時:2025/10/04
こんにちは。HMR広報の小川です。今回紹介するFK8 シビックタイプRは、「FF量産車としてニュルブルクリンク最速」という明確かつ究極の目標を掲げて開発されました。その実現のため、開発の基本方針とされたのが「低重心・低慣性・軽量・高剛性」。タイプRの歴史を塗り替える「VTECターボ」の搭載と、その強大なパワーを受け止めるためにプラットフォームから足回りまで全てを刷新。ホンダのレーシングスピリット「走る実験室」を公道で具現化した、まさに究極のホットハッチです。
FK8の攻撃的なスタイリングは、単なる見た目の派手さではありません。その全ての形状に、コンマ1秒を削り出すための明確な機能が与えられています。フロントスプリッターからサイドスカート、リアディフューザー、そして巨大なリアウィングに至るまで、全てのパーツが連携して強力なダウンフォース(車体を地面に押し付ける力)を発生させます。
ルーフ後端のボルテックスジェネレーターといった細部にも、徹底した空力へのこだわりが見られます。
機能とデザインが融合した3本出しマフラー リアビューの象徴であるセンター3本出しマフラーは、排気効率を高めると同時に、中央の細いパイプで不快なこもり音を低減するという、機能的な役割も担っています。
ドアを開ければ、ドライバーの闘争心を掻き立てるタイプR伝統の空間が広がります。 体を深く、かつ確実にホールドする専用設計のスポーツシートや、Dシェイプのステアリングホイール、そしてアルミ削り出しのシフトノブが、特別なモデルであることを主張します。
センターコンソールにあるスイッチで、「+R」「SPORT」「COMFORT」の3つの走行モードを切り替え可能。サーキット走行に特化した+Rモードから、街乗りでの快適性を確保したCOMFORTモードまで、一台で全く異なる顔を見せます。
「VTECにターボ?」という疑念は、アクセルを踏み込んだ瞬間に歓喜へと変わります。先代FK2からさらに10馬力のパワーアップを果たした2.0L VTECターボエンジン「K20C」。2,500rpmという低回転から最大トルクを発生し、シートに押し付けられるような強烈な加速がレブリミットまで続きます。
吸排気VTC(連続可変バルブタイミング・コントロール)と排気側VTEC(可変バルブリフト)を巧みに組み合わせることで、ターボの弱点であるレスポンスの遅れを解消。「ターボは上が回らない」という常識を覆し、NA VTECのような鋭い吹け上がりと「ツキのよさ」を見事に継承しています。
FK8の真骨頂は、FFの常識を覆すシャシー性能にあります。フロントサスペンションには、320馬力という大パワーをFFで受け止めるための専用設計「デュアルアクシス・ストラット・サスペンション」を採用。これにより、急加速時にハンドルが取られるFFの悪癖「トルクステア」を劇的に抑制しています。走行モードと連動する「アダプティブ・ダンパー・システム」で 4輪のダンパーの硬さをリアルタイムで制御。「+R」モードではサーキットの縁石にも耐える硬さに、「COMFORT」モードでは街乗りもこなせるしなやかさに瞬時に変化します。
先代FK2からプラットフォームを刷新し、ねじり剛性は38%も向上。理想的な重量配分と10mmの低重心化も相まって、異次元のコーナリング性能を実現しました。
FK8 シビックタイプRは、VTECターボという新たな心臓部を得て、その走りを想像を絶するレベルへと昇華させました。これはNAの魂を捨てたのではなく、「FF最速」という至上命題に対するホンダの最も誠実な“回答”なのです。サーキット最速の性能と日常の快適性を両立した、新次元のタイプR。ホンダのレーシングスピリットが作り上げた、世界に誇る日本のホットハッチ。それがFK8です。