HOT HATCH HMR(ホットハッチエイチエムアール)の栗原です。今回は初代ミニJCW(ジョン・クーパー・ワークス)について紹介したいと思います。2001年に誕生したニュー・ミニには、街乗りメインの基本モデルとなる「ミニワン」、スポーツ性と街乗りを両立させた中間モデルの「ミニクーパー」、そしてよりスポーツ志向に仕上げた「ミニクーパーS」が設定され、自分のカーライフスタイルに合わせたニュー・ミニが誕生しました。「ミニクーパー」というと、1960年代のヨーロッパ各国で開催されていたラリーイベントで小さな車体を生かしたすばしっこい走りを思い出す人もいると思います。このミニクーパーを作り上げたのが、当時のF1を席巻していたイギリスのクーパー・カー・カンパニーの共同創設者であるジョン・クーパー氏でした。それから約40年後、ニュー・ミニのさらなる可能性を模索していたBMWは、「クーパー」の名に相応しい、よりホットなモデルを2003年に追加しました。それがJCW(ジョン・クーパー・ワークス / John Cooper Works )です。コンパクトホットハッチカーではあまり見ない、大型ホイール・ブレーキ、鋭いエキゾーストノートなどニュー・ミニの「本気の走り」を体感できる1台です。他モデルとの違いや、追加されたポイントなどを紹介していきたいと思います。
スタートは後付けチューニングキット!始まりから異色の存在だったJCW
「ミニクーパーJCW」の始まりは2003年11月。当時のスポーツグレードだったクーパーSの純正チューニングキット「JCWチューニングキット」としてMINI正規取り扱いディーラーにて販売開始されました。補足となりますが、この時からJCW(ジョン・クーパー・ワークス)は、BMWのミニ直営プロショップとしてミニのワンメイクレース車両や、新旧ミニの整備販売を世界中で展開しています。「クーパー(5MT)」と「クーパーS(6MT)」の2グレードにこのキットが設定されました。それぞれの変更点とスペックの変化を解説します。
■”クーパー”用JCWチューニングキットによるベースからの変更点
・フロー及びポート加工された強化シリンダーヘッド
・強化ヘッドガスケット
・スポーツ・エアクリーナー・エレメント
・スポーツ・マフラー
・ECUのリプログラミング
・専用エンジンカバー
・専用フロントバッジ
・専用エンジンバッジ
JCWキットを装着することで最高出力がベースから約10ps増の126ps(93kW)/5750rpm、最大トルクが6Nm増の155Nm/4750rpmに向上し、0-100km加速も8.9秒と装着前から0.3秒短縮しています。
■”クーパーS”用JCWチューニングキットによるベースからの変更点
・混合ガス流入量を拡大させる加工を施された強化シリンダーヘッド
・強化ヘッドガスケット
・ベース比11%小型化されたスーパーチャージャープーリーを装着した専用ユニット・低温温度範囲のスパークプラグ
・スポーツ・マフラー
・ECUのリプログラミング
・専用エンジンカバー
・専用フロントバッジ
・シリアルナンバー入り専用エンジンバッジ
・マイク・クーパー氏署名の証明書
クーパーS用のJCWキットを装着することで最高出力がベースから約40ps増の200ps(147kW)/6950rpm、最大トルクが30Nm増の240Nm/4000rpmに向上し、0-100km加速は6.7秒と0.7秒も向上しています。
また共通アクセサリーとして、JCW専用アロイホイール(7J x 18インチ)とタイヤが別途販売されました。205/40R18のワイドサイズのランフラットタイヤと伴って完全にパンクしてもある程度の走行距離まで、タイヤがリムから外れることなく走行可能にしています。スター(星型)スポーク デザインは開口部が大きく人目を引くスポーティーさを演出します。一目でそれとわかるように、センターエンブレムにはJCWロゴを装着。より安定した軽快な走りを実現しました。
よりパワーアップ!かつリーズナブルになった初代JCWチューニングキット(2005年)
2003年にMINI正規取り扱いディーラーにて後付けキットとして販売されたJCWチューニングキット。予想以上の人気に対してBMWとJCWは、2005年10月にミニクーパーS/コンバーチブル・クーパーSのMT車向けに改良キットを発売開始しました。大きな変更点して、ディーラーでの後付けではなく、生産拠点であるイギリス・オックスフォード工場でのライン取付け、つまりメーカーオプション設定とし、より一段の信頼性向上を実現しました。更にメーカー取付によって装着コストが約2割減(約15万円)したことでよりお手軽にハードコアなスポーツホットハッチを自分のものにできるようになりました。
■2003年発売のクーパーS向けキットからの変更点
・ディーラー後付けキットから注文時のメーカーオプションに変更
・強化インジェクターの装着(330cc/minから380cc/min)
・強化インジェクター装着に伴ってリプログラミングされたECU
・強化エアインテークシステムとエアフィルター
これによって最高出力は、約10ps増の210ps(154kW)/6950rpmに引き上げられ、最大トルクも5Nm増の245Nm/4500rpmに向上しました。
BMWは、2003年発売のキットを装着した車両向けのアップグレードキットも正規取り扱いディーラーにて発売し、更により鋭いレーシーなエキゾーストノートとパワーアップを実現する「JCWサウンドキット」を同時発売、これはキャットバックマフラーとエアフィルターのセットとなっており、更に2-4psアップするパーツとしてなっています。
またこれらのパワーアップキットとは別に、2003年キットには設定されなかったスポーツ・ブレーキやルーフスポイラーとか性能向上とドレスアップを兼ねた「JCWアクセサリー」が販売されました。これによって自分好みのMINIを作ることができました。■販売されたJCWアクセサリー
・スポーツブレーキ(ミニ全グレード装着可能)
・リアル・カーボン・ファイバー・エアインテーク
・リアル・カーボン・ファイバー・バックドアハンドル(ミニ全グレード装着可能)
・リアル・カーボンミラー・カバー(ミニ全グレード装着可能)
・JCWスポーツ・エグゾースト(クーパー/クーパー・コンバーチブル向け)
・JCWダブルスポーク 7Jx18インチホイール
・エントランス・イルミネーションセット・カーボン・インテリア・パネル
日本国内ではわずか160台。世界限定2000台の最強のコンプリートMINI「クーパーS with JCW GP Kit」
2006年の7月には、待望のコンプリートカーである「MINIクーパーS withジョン・クーパー・ワークスGPキット」を世界限定2000台、うち160台が日本国内で販売されました。今までのJCWシリーズとは違い、駆動系だけではなく、ボディ各部・足回りにもJCWの手が入った「最強」のコンプリートMINIとなりました。このスペシャルモデルは、英国を中心に行われているMINIのワンメイクレース「MINIチャレンジ」で得たノウハウを存分に活用しています。主な変更点は以下の通りです。
■クーパーS with JCW GP Kitの変更点
・クーパーS向けの1.6L直列4気筒SOHC+スーパーチャージャーエンジンをベースに、専用シリンダーヘッド、排気系など全体的に高精度での見直し、スーパーチャージャーの過給圧アップ、圧縮比アップによってJCWキット装着車と比較して8ps、5Nm増、ベースのクーパーSから最高出力が48馬力像の218ps(160kW)/7100rpm、最大トルク30Nm増の250Nm/4600rpmまで向上しました。
・車体自体の軽量化と剛性向上を両立するため、後部座席を取り外し、タワーバーを装着。・JCW GP Kit専用16インチベンチレーテッドディスクブレーキをフロントに装着
・JCW GP Kit専用デザイン18インチアロイホイール装着
・JCW GP Kit専用エアロパーツ(フロントマスク(GPロゴ付)、リアウィング)装着
・専用外板色「サンダー・ブルー」を設定
・ルーフには特別限定車であることを表すようにシリアルナンバー『GPxxxx』と『0001』から『2000』まで数字が刻印という最強のMINIに仕上がっています。中古車市場でもこの初代JCW GP Kitの数は非常に少なく貴重な1台となっています。
JCWこそクラシック・ミニクーパーを最も色強く受け継いでる
今世紀入って最初のセンセーショナルな誕生となったBMW MINI。かつてのクラシックミニと比べて車格は大きく変わってしまい、アニメーションなどで表現されているようなヤンチャな動きはもう見れないと思った人もいるかもしれないです。このJCWがその小気味良いヤンチャな走りを一番体感できるミニとして誕生しました。初代JCWはキット発売から17年も経過しているのでその数はとても少ないです。今この初代JCWを乗っていてこれからも長く乗っていきたいと思っているのであればぜひ当店HOT HATCH HMR(ホットハッチエイチエムアール)にお気軽にご相談ください。