更新日時:2024/07/31
HMR(エイチエムアール)のイシケンです。7月27日~28日に開催されたENEOS スーパー耐久シリーズ2024 Empowered by BRIDGESTONE Rd3 オートポリス戦に参戦してきました。自社製作マシンで戦い始めての第3戦目になります。前回は富士24時間レースを無事完走し、今回は富士でトラブルが出た箇所の改善を施し、セッティング面も見直して臨んだ戦いでした。マシンバランスも良くなり、24時間で出たトラブルも解消しているのでそこそこの順位で戦えるのではないかという期待とそんなに変わっていないという不安を持って九州入りしました。
オートポリスは私含めて誰も行ったことがなく、全てが未知のサーキットでした。まずはどうやって現地に行くのがベストなのかというところから始まりました。結果的には行きは神戸港まで自走で走ってフェリーに乗って大分港へ渡るのが良さそうで、帰りは自走で戻ってくるという感じがベストでした。ということで、レースウィークの火曜日にHMRを出発!!
神戸港に夕方17時過ぎに到着して乗船手続きを行いました。トラックや乗用車が100台以上入るさんふらわ号は想像以上の大きさでした。19時に出航して船内でみんなでディナーを楽しみ、明石海峡大橋や瀬戸大橋などなど有名な橋の下を潜って行くこのフェリーではレースを忘れて旅行気分になりました。
翌日の朝6時半に大分港に到着。
そこから約2時間くらい走ってオートポリスに到着しました。 道中も凄く綺麗な景色で阿蘇のカルデラも望める絶景ポイントもありました。
朝9時半にはサーキットには到着し、そこから昼過ぎくらいまで設営を行って木曜日からの走行に備えました。
レジャー気分だった火曜日水曜日から、一気にレースモードへと変わった木曜日。天気はとても良くて午後13時からのセッション1は気持ちいい路面でスタートしました。今回のドライバーは富士24時間と同じメンバーで臨みました。AドライバーはKENBOW、Bドライバー佐々木孝太、Cドライバー妹尾智充、DドライバーNAORYUです。
富士で何度かテストして乗り易くなったマシンのバランスチェックから行ってもらうべく、佐々木選手からスタートしました。
最初のセッションではまず中古タイヤでスタートしてドライバーとマシンのウォームアップをしてもらい、その後NEWタイヤを入れてマシンバランスチェックに入りました。この時のタイムは2分9秒310でクラス3番手のタイムでした。NEWだったので8秒台はポンと入るかなと思っていましたが、ちょっとタイム的には遅かったです。佐々木選手からのコメントでも車が大きく動きすぎているのでもっと固めた方がいいとのことでした。
次のセッションに向けてはバネレートを上げて走行を開始しました。しかしこのセットはいっきにタイムが落ちてしまい11秒台という状況に・・・。インカー映像を見ていてもマシンがとてもピーキーになっていて運転し辛そうな感じ。ということでロールが大きくても固めてはダメだということで、翌日の走行に向けてはバネレートを元に戻してスタビも純正にしてこの日を終えました。また、ブレーキング~ターンイン時のリアのスライドが大きいということで、ブレーキパッドを効きの弱いタイプに交換してみました。
金曜日は午前中にグループ2のみの走行と午後に全クラス混走の2時間のセッションがありました。午前中の枠ではいつも予選シミュレーションをするのですが、今回はセットがまだ定まっていないこともあり、セットアップに時間を費やすこととしました。佐々木選手を中心にマシンバランスをチェックしてもらい、マシンの動きとしては昨日より良くなっているとのことでした。ただ、ブレーキは効きが弱く、それによるアンダーステアが出ているとのことだったのでパッドは元に戻しました。この時のタイムは2分7秒821と昨日よりも1秒5ほどタイムアップしました。クラス2番手で終えました。
午後のセッションでは開始から1時間くらいはWET路面となってしまい、この間にローターとパッドの慣らしを妹尾選手にしてもらいました。その後ドライアップしたので、AドライバーとDドライバーを中心にマイレージを稼いでもらいました。
マシンのフィーリングはどのドライバーからもとても良いとのコメントでした。ただ、後1秒はタイムアップしないと予選で上位勢に食い込むことは厳しいと思っていました。ここまでいいタイムを出しているのはNEWタイヤの初期だけで、すぐにタイヤがダメになってタイムが落ちていました。平均ラップでは1秒~2秒近く他車とは遅い可能性があると思っていました。特に後半セクションはトラクションのかかり悪い状態で、アクセルONに対してすぐにスライドをしてしまう状況でした。ここの懐の深さが必要だと感じてました。
予選に向けては、これまでに施したセットの方向性とログデータから微調整を施して予選日に備えました。また、この日のうちにミッションやいくつかのパーツを交換しておきました。
午前中に予選前のフリー走行が20分設定されていて、この枠はグループ2のみの走行でしたので、ここではガソリンを軽くして予選と同じようなフィーリングでドライバーに乗ってもらいました。きっとトラクションのかかりが良くなっているだろうと期待していましたが、ドライバーからのコメントはアンダーが強いと・・・。どうやらトラクションが増えすぎたのかフロントの接地がリアに対して減ってしまったようです。また、路面も昨日とは違ってとても悪そうな感じでした。
また、フロントのパッドとローターは同じ素材の新品を投入したのですが、昨日の慣らしが完璧に出来ていないのか効きが悪いとのことでした。
このセットはあまり良くないとのことだったので、ブレーキは変えようがないですがセットについては前日の最後に戻して予選に臨みました。予選前にピットウォークがあり、多くのS耐ファンがオートポリスに詰め掛けていました。
午後からスタートした予選は、Aドライバー予選で2分10秒464、Bドライバー予選で2分6秒929となり、両ドライバーともにクラス最下位となってしまいました。昨日のセットに戻しても昨日のようなフィーリングにはなっていなく、ターンインからのアンダーがどうも強いらしく、ブレーキの効きの弱さがそこに影響をしていそうな感じとのことでした。 それでも佐々木選手はレースウィークベストとなる6秒台を出してくれて、初日からは3秒ほどのタイムアップとなりました。また、セクター1とトップスピードは全体ベストを出していることから、うちのマシンがいかにコーナーで落としているのかが分かります。
この後のCドライバー予選では、決勝想定でガソリン満タンでのセット確認を妹尾選手にしてもらう予定でコースイン。ここでトラブルが発生!冷却水が漏れてしまいオーバーヒートしてのエンジンブロー。。。4月にも同じところから冷却水が漏れてブローしており、その後は対策をして24時間レースも戦い抜いたので問題ないかと思っていたらダメでした。この結果Dドライバー予選は出走することができず、NAORYU選手には申し訳ないこととなってしまいました。
予選後にエンジンを載せ替えして決勝には無事出走することができましたが、車検後のエンジン載せ替えということで決勝では20秒のピットストップペナルティとなりました。
いよいよ決勝日です。この日はレースウィーク中でも一番に暑いのではないかというくらいジリジリと日が照っていました。5時間レースの長丁場なのでドライバーにもマシンにも厳しい戦いになりそうでした。そんな中、午前中のウォームアップ走行ではまたもトラブルが発生。昨日走れていなかったNAORYU選手に慣熟走行をしてもらう予定が、ガソリンがオーバーフローしてしまう状況・・・。これは24時間レースのスタート前にグリッド着いた時に発生したトラブルと同じです。対策をして何度がテストをして問題がなかったのが、急にここに来て発生しました。この対処でウォームアップ走行をまともに走らせる事が出来ずに終わりました。
昨日からトラブル続きで決勝がとても不安ではありましたが、まずは無事にグリッドにつくことはできました。恒例の撮影も終わらせて後は無事に完走してくれることを祈るのみ。願わくば少しでも順位が上がってくれればいいなという感じでした。
11時から決勝がスタートしました。スタートドライバーはKENBOW選手。予選順位は6台中クラス5番手でしたが、最後尾のロードスターはトラブルでBドライバー予選を走れていなかっただけで、タイムはとても速いので早々に抜かれて216号車は最後尾に。これもスタート前から想定していたので、無理せず自分のペースで走りましょう!と伝えていました。このレースウィークではガソリン満タンでのロングが出来ていなく、KENBOW選手もそこへのアジャストが難しくてラップタイムは13秒から14秒台を刻んでいました。
想定していたタイムよりも遅かったこともあり、燃費が良くてKENBOW選手のスティントはかなりロングになってしまいました。ガソリンを減らさないと次のピットで入れたい給油量が入らないため、頑張って走ってもらうしかありませんでした。また、途中でSCが入ったこともあって更に伸びてしまい、走行時間は1時間45分にもなってしまいました。ただ、この暑い中でもSC明けの後半は11秒~12秒台のタイムが連発して、SCでタイヤが冷えたのか、ガソリンが軽くなったのか、はたまたその両方なのかわかりませんが、後半は気持ちよく走行してもらえたようでした。20秒のタイムペナルティストップがあったこともあり、KENBOW選手がピットインした時にはトップとは2周差がついていました。
次に佐々木選手にバトンタッチ。フルサービスをしてコースイン!佐々木選手にも1時間半のロングスティントを担当してもらう予定でしたので、あまりタイヤを使わずにペースを維持して走っていただきました。最初に9秒台を出した以降はタイヤ温存で10秒~11秒台でラップしていただきました。他チームとの差は詰まることはなく、佐々木選手でも現状維持が精一杯という状況でしたので、やはり決勝でもマシンの速さは欠けている状況なのが良くわかりました。
順位の方は#18のWeds Sport GR86にエンジントラブルが発生して長い時間修理をしていたため、予選通りのクラス5番手を走行していました。
1時間半のスティント予定でしたが、想定よりもタイヤの落ちが激しくて15分ほど早くピットインしました。フルサービスを行ってDドライバーのNAORYU選手にバトンタッチ。NAORYU選手はオートポリス8年振りにも関わらず、マシントラブルなどであまりマイレージを稼ぐことができずにいました。にも関わらず13秒~14秒台で安定してラップして1時間のスティントを無事に終えました。
チェッカーまで残り50分くらいでCドライバーの妹尾選手にバトンタッチ。最低限の給油とリアタイヤ2本のみ交換してピットアウトしました。この時点でトップからは3周遅れという状況なので、後はペースを維持して無事に完走するのみという展開でした。初戦のSUGOでは妹尾選手にチェッカーを受けさせることができなかったので、オートポリスでは無事にチェッカーを受けさせたいという思いが強かったです。
レースラップは11秒~12秒台で安定して走行してくれましたが、リアタイヤだけ交換していたのでずっとアンダーステアとの戦いだったそうです。4本ともNEWタイヤだったら9秒~10秒くらいのラップになっていたことでしょう。
そして、午後16時。130周を周回して無事にチェッカーを受けました。トップとは4周遅れでクラス5位でのチェッカーとなりました。特にトラブルが発生した訳ではないため、マシンとチームの実力の差がはっきりとしたレースでした。
路面の悪いオートポリスでトラクションがうまく出せないというところがはっきりと分かりました。そして、その解決方法が選定している部品の影響にありそうで、マシンのセットアップはこれ以上は多少改善したとしてもトップ勢に肉薄するほどではありません。この現実も分かったレースでした。次戦は9月上旬のもてぎ戦です。お盆休みもあって実質1カ月を切っている状況の中で、少しでも改善できるパーツを投入してもてぎに臨もうと思います。まだまだひよっこなチームとマシンですが、負けて負けても諦めずに改善して必ず上位に入れるチーム力とマシンを作っていきたいと思いますので、引き続き応援をよろしくお願いします!!
帰りは頑張って自走で帰りました♪こちらは関門海峡大橋と216号車