更新日時:2025/09/29
こんにちは。HMR広報の小川です。今回紹介するのは「セダンボディのレーシングカー」というコンセプトのもとに開発されたFD2型シビックタイプR。快適性を潔く切り捨ててでもサーキットでの速さを徹底的に追求した、歴代随一のスパルタンなモデルです。その心臓部には、ホンダの歴史に輝く「最後の高出力自然吸気エンジン」K20Aの最終進化形を搭載。4ドアという実用性を持ちながら、その走りは一切の妥協を許さないピュアスポーツ。まさに、ホンダのレーシングスピリットを色濃く体現した一台です。
一見すると普通のセダンですが、その全身には空力性能を突き詰めた「戦うため」のデザインが施されています。セダンボディに映える専用エアロ ベース車両とは明らかに違う雰囲気を放つ、専用設計のフロントバンパーやサイドシルガーニッシュ、リアディフューザーを装備。ボディ全体で空気をコントロールし、高速走行時の安定性を高めています。
タイプRの象徴、大型リアウィング リアに鎮座する大型ウィングは単なる飾りではありません。強力なダウンフォースを発生させ、コーナリング時にリアタイヤを路面に押し付けるための機能パーツです。
このクルマの素性を何よりも雄弁に物語っています。
タイプR専用パーツが所有欲を満たす ドライバーの手に馴染むアルミ削り出しのシフトノブ、操作性を高めるメタル製ペダル、そして体を確実にホールドする専用セミバケットシートが標準装備されています。 FD2のインテリア最大の特徴が、視線移動を最小限にするマルチプレックスメーターです。視線の先にデジタル速度計、その下にアナログのタコメーターを配置することで運転中の視線移動を最小限に抑えます。
ドアを開ければ、そこはタイプRの名にふさわしい、ドライバーのための空間が広がります。
FD2の魂は、タイプR伝統の赤いヘッドカバーが輝く、熟成を極めた名機「K20A」エンジンにあります。スペック:2.0L 自然吸気 / 最高出力 225PS リッターあたり112.5馬力を絞り出す、NAエンジンとしては驚異的なパフォーマンスを発揮します。
i-VTECによる「ターボとNAのいいとこどり」 従来のVTEC(高回転でのハイカム切り替え)に、低回転からバルブタイミングを最適に制御するVTCを組み合わせたのが「i-VTEC」。これにより、低中速では2Lターボ車のようにトルクフルで扱いやすく、高回転まで回せばNAならではの鋭い吹け上がりと官能的なサウンドを堪能できます。
ライバルを超えるための徹底的な改良 このK20Aは、インテグラタイプR(DC5)に搭載されたエンジンをベースに、エキマニ形状の改善による排気効率の向上や、エンジンヘッドのポート表面を平滑化する処理など、ホンダが持つNAエンジンのノウハウを全て注ぎ込み、細部に至るまで改良が尽くされています。
セダンボディの内部には、サーキットを速く走るためだけのメカニズムが詰め込まれています。快適性を度外視した超高剛性ボディ&サスペンション ベースのシビックセダンからボディ剛性を大幅に(特にリア周りは約50%)向上。サスペンションはサーキット走行を主眼に置いた極めて硬いセッティングで、路面の情報をダイレクトにドライバーへ伝えます。
標準装備される本気のパーツ 軽量な18インチホイール、強力な制動力を誇るブレンボ製のフロントブレーキキャリパー、そしてコーナリング脱出時のトラクションを確保するヘリカルLSDを標準装備。
街乗りではオーバースペックとも思える装備が、このクルマの本気度を物語っています。
FD2 シビックタイプRは、4ドアセダンという実用的なボディを持ちながら、その中身は一切の妥協を許さずに「速さ」を追求した、極めてスパルタンな一台です。エンジン、シャシー、内外装の全てがサーキットという一つの目標のために作られており、「最後の高出力自然吸気エンジンを搭載したシビックタイプR」として、その価値は今後ますます高まっていくでしょう。NAエンジンを愛するドライバーにとって、これ以上ない選択肢の一つです。