更新日時:2025/09/22
こんにちは、HMR広報の小川です。 毎年のように改良が加えられ、熟成を重ねるトヨタ GR86。実はこのクルマ、兄弟車であるスバルBRZの生産ラインで作られているため、トヨタ車でありながらスバル独自の「アプライドモデル」という年次改良の区分で管理されています。車台番号に記されたアルファベット(A, B, C, D…)で識別するこのモデル。その進化を知ればGR86選びがもっと面白くなります。今回はその違いをわかりやすく解説します。
記念すべきGR86のデビューモデルです。初代86から受け継いだ「誰もが楽しめるFRスポーツ」の思想はそのままに、中身は完全な新設計へと生まれ変わりました。
新開発2.4L NA水平対向エンジンを搭載 最大の進化は、排気量を2.0Lから2.4Lに拡大したエンジンです。これにより、初代で指摘された中回転域の「トルクの谷」を完全に克服。どの回転域からでも力強い加速を味わえるようになりました。
超低重心&高剛性ボディ ルーフやボンネットにアルミ材を採用し、さらなる低重心化を追求。ボディのねじり剛性も初代比で約50%向上させるなど、シャシー性能を飛躍的に高めています。
軽快なハンドリングとトルクフルなエンジン。全ての進化の基盤を築いた最初のモデルです。
デビューから約半年という異例の速さで登場したB型。ここでの変更点は、目に見えないながらも走りの質感を大きく左右する部分でした。EPS(電動パワーステアリング)の制御を改良 A型の一部ユーザーからフィードバックがあった「ステアリング初期応答の過敏さ」を改善。制御プログラムを最適化し、微小な舵角での唐突な動きを抑制。よりリニアでドライバーの感覚に馴染む、自然なステアフィールへと進化しました。
操作の気持ちよさが大幅に改善され、街乗りからワインディングまで、さらに人馬一体感を味わえるようになりました。
C型は、GR86の歴史における大きな転換点と言える大幅なアップデートが施されました。MT車にも待望の「アイサイト」を標準搭載 これまでAT車限定だった先進安全装備「アイサイト」を、ついにマニュアル車にも搭載。プリクラッシュブレーキや全車速追従機能付クルーズコントロールなどが備わり、スポーツカーの楽しさはそのままに、日々の運転での安全性と快適性が飛躍的に向上しました。
電子スロットルやVSC(横滑り防止装置)のセッティングを最適化 アクセル操作に対するエンジンの応答性をよりコントロールしやすい特性に変更。また、VSCの介入ロジックも見直され、特にサーキット走行時の限界領域におけるコントロールの自由度が高まっています。
「スポーツカーでも安全性を妥協しない」というGRの姿勢を示し、走りと安全を高次元で両立した新世代のスポーツカーへと進化しました。
2025年9月現在最新のD型は、C型で完成度を高めた走りと安全性をベースに、さらなる「熟成」を施したモデルです。シャシー性能の進化とリアサスペンションメンバーの締結ボルトを変更するなど、細部にわたる改良でシャシー剛性をさらに向上。ステアリングを切った際の応答性と、高速走行時の収まりの良さを見事に両立させています。
これまでGRパーツとして提供されていた、ブレンボ製ベンチレーテッドディスクブレーキとザックス(ZF)製ショックアブソーバーをセットにしたパッケージが、工場出荷時から選択可能になりました。絶対的な制動力としなやかな乗り味を両立する、まさに“本物”の足回りです。
細部にまでこだわった改良で完成度を極めた、現行GR86の一つの最適解と言えるモデルです。
A型 → デビュー時のピュアな素性を楽しむ基礎モデル。
B型 → ステアフィールにこだわり、操作性を改良したモデル。
C型 → 安全装備と電子制御が大幅進化し、万能性が増したモデル。
D型 → 全てを熟成し、オプションでさらに本格派にもなれる完成形。
見た目は大きく変わらなくても、中身は着実に進化しています。これが「アプライドモデル」の面白さです。