更新日時:2024/01/20
HMR(エイチエムアール)のイシケンです。2024年シーズンはいよいよ新型のGR86を投入します。メカニックの育成を目的にスーパー耐久にチャレンジしているため、新型のレースマシンも自社で製作をしています。ボディのスポット増しやロールケージの溶接などは自社では対応ができないため、ボディ製作のみは外注で作ってもらい納品してもらいました。(ボディ製作の状況は過去ブログでもご紹介しています。)それが昨年の7月。それからレースが毎月のようにあり全く手が付かず、11月の最終戦が終わってようやく本格的に着手ができるようになりました。
今回は11月中旬から昨年末の1カ月半くらいでの作業状況をブログに上げたいと思います。こちらの製作はチーフメカニックの邑松がほぼ1人でやっています。
レースマシンの製作で一番厄介で大変なところがハーネスです。昔の車ならCPUからエンジンを始動するメインのハーネスと灯火類を点灯させるハーネスだけを残して他はごっそりと間引いてしまえば良かったのですが、今のクルマはCAN通信で色々なところが繋がっている関係で、何でもかんでも間引くわけには行きません。そのため、まずは配線図とにらめっこをしながら、CAN通信には関係のないハーネスをピックアップするところから始まります。
メインハーネスやキャビンハーネスは何十本という配線が通っており直径でも10cm近くはあるような太さです。そして、そこから分岐して何本も束ねられた配線があらゆるところへ伸びています。これらの被覆をまず剥がして配線をむき出しにし、必要のない配線のみを間引いてまた被覆を戻すという作業を行いました。これだけで2週間近くの時間を要した感じです。ただ、これが正しい間引き方であったのかどうかは、エンジンに火が入るまでわかりません。ダメならもう一度やり直しな感じです・・・。
これらのハーネス処理に目途がついたら、続いてレース用の配線を作成していきました。まずはキルスイッチです。これはレギュレーションで車外からと車室内からオフできるようにする必要があります。よくあるスイッチタイプではなく、電子式のボタンタイプにしました。この方が配線が少なく本体も軽いためです。(※写真はキルスイッチの電源本体です)
そして、各種ポンプを動かすスイッチ類の配線もこのタイミングで製作しました。イグニッション、燃料ポンプ、ミッションデフのオイルクーラーポンプ、クールスーツスイッチなどです。
これらのスイッチを取り付けるカーボンパネルの製作も合わせて行いました。満面の笑みの邑松ですが、この後手配していたボタンや配線は耐久性がないということで全て作り直すことになりました・・・。
そして、86でとても重要なブレーキ液圧の配線。これはABSモジュレーターから4輪それぞれの液圧をセンサーで取得するため、完全にオリジナルで配管を製作しました。ただ、CAN通信でフロントは液圧を取れるのではないかという情報があったのでリアだけ最初は作っていたのですが、やはりフロントも必要ということで、この写真に写っている配管は作り直し予定です。
また、燃料タンク内のポンプ類も配線含めて製作しました。純正のポンプと燃料ホースとレース用のをうまく組み合わせて作っています。この製作でも1週間近くの時間を要しました。何しろすべてが初めてのことのため、部品の手配から含めて何をどこで買ったらいいのかから始まります。何をするにも時間がかかりますが、これも勉強の一つだと思って進めています。
配線周りは作り直しなどもあるため部品待ち状態となり、外装周りの作業に着手しました。まずはボンピンの取付けから!トランクは純正を使う必要があるため、純正トランクに穴あけをしてボンピンを取付けました。ボンネットはスクリーンさんのダクト付きドライカーボンボンネットを手配しており、これにボンピンを装着。 ヘッドライトやフロントバンパーも仮組で取り付けてみたら一気に出来上がってきた感のある見た目にはなりましたが、まだまだやることだらけです。
フロント周りでは、ブレーキ冷却のエアダクトの製作もしました。 同封ダクトからブレーキへこんな感じでエアを導きます。 GR86のフロントバンパーは純正でエアの導入がよく考えられていて、ラジエター中央に風をしっかりとあてるために左右に導風板がありました。なのでここは純正をそのまま利用し、そのサイドにダクトを設置してブレーキへエアを送る仕様です。
フロントバンパーの内側にあるこの樹脂パーツ、軽量化のために肉抜きしました。チリツモですが、マシン製作をしながら少しでも軽量化できるところを同時に作業しています。ただ、純正のフロントバンパー、サイドスカート、リアバンパーはかなり重いです。GR86は純正の空力がとても良いとのことなので、エアロ無しの純正で行く予定ですが、軽くすることを考えると純正形状のドライカーボンバンパーを製作しないといけないかもですね。
リア周りはレインライトを装着し、GTウィングも取り付けました。 GTウィングはSTIです。数あるウィングの中で一番抵抗が少なそうなタイプかなと思いSTIにしました。ZN6型でもそうでしたが、GTウィングがあるとリアのダウンフォースが強すぎてアンダーになってしまうため、出来る限り小さいタイプで翼端が立っていないで落ちているタイプにしたく、またスワンネックタイプにしたいというのでSTIになりました。
室内は配線処理がまだあるのであまり進んでいないよう見えますが、一応ダッシュボードは装着できる状態で各部の干渉などもなくしています。また、ペダル類もついています♪アクセルペダルはヒールトゥがしやすいようにクスコ製のペダルにしています。ここまでが現在の進捗状況です。今月末のシェイクダウンに向けて急ピッチで作業を進めていきます。また、進捗状況はブログで報告したいと思います!お楽しみに!!
ここまでのドナー車からの部品取りから始まっての一覧の作業の様子はyoutubeでも公開中です。
また、レースや一般作業のメカニックが全く足りておりません。今シーズンはいよいよ表彰台争いができる体制とマシンになるため、レースメカニックとしても一緒に活躍してくれるメカニックを募集しています。普段はスポーツカーの整備やチューニング、メンテナンスなどを行い、レースにも一緒に参加したいという方を募集しています。作業内容的にメカニック未経験者は採用できませんが、チャレンジしてみたいという方は下記ページからご応募お待ちしております。まずは会社見学をしたいという方もご連絡ください。
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