日産GT-R(R35) NISMO(ニスモ)の歴代モデル紹介
初代・MY14(2014年2月発売)
日産GT-R NISMOは、日産のモータースポーツ活動を担うNISMOがニュルブルクリンク24時間レース、FIA-GT1やSUPER GTをはじめとするモータースポーツ活動から学んだ数多くの技術を、空力性能、サスペンション、パワートレインなどに採り入れ、日常走行でもスポーツ走行でも通用するパフォーマンスを徹底して追求し、両立したモデルとなっている。
- NISMO専用チューニングの3.8リッターV6 VR38DETTエンジンを搭載。様々な変更を加えたことで最高出力600PS(441kw)、最大トルク652Nm(66.5 kgf・m)を発生。
- NISSAN GT-R NISMO GT3にも使われている高効率大容量の専用タービンを搭載し、気筒毎に最適な点火時期をコントロールする制御の採用に加え、最適な燃料噴射量をコントロールするインジェクター駆動回路を採用。
- NISMOエンブレム付きの専用エンジンカバーを標準装備。
■シャシー
- フロントおよびリヤサスペンションのスプリングと特注のビルシュタインダンプトロニックダンパーは、極限状態でも路面に吸い付くようなグリップや正確なステアリング応答性を実現するために専用チューニング。走行中に3パターンのサスペンションモードが選択可能。
- レースから着想を得たサスペンション設定を補完するため、ワイドリムフロントホイール(20×10.0J)とサイズアップした専用の高剛性ハブボルト、専用タイヤ(前輪:255/40 ZRF20、後輪:285/35 ZRF20)を採用。
- ハイスピードでのコーナリング時のホイール位置を最適化し、操縦安定性を向上させるため、フロントダブルウィッシュボーン式サスペンションに専用アッパーリンクを採用し、キャスタートレールを拡大。
- コーナリングやレーンチェンジの際の車体の横揺れを最小化するため、「NISSAN GT-R NISMO」は、重量を低減しながらロール剛性を高めるφ17.3mm中空スタビライザーをリヤサスペンションに採用。
■ボディ
- 高負荷時でもサスペンションの精度の高い動作を確保するため、ボディ結合部には通常のスポット溶接に加え、構造用接着剤による補強も追加し、ファクトリーチューンだからこそ実現できる高いボディ剛性を獲得した。
■エクステリア
- 空気抵抗への影響を最小化しながら、路面追従性を向上させるエアロパッケージを開発
- フロントにカーボン製バンパーとアンダーカバーのエアストレーキを、リヤにはカーボン製のリヤスポイラーを採用
- カーボンファイバー素材をバンパー、リヤスポイラー、サイドシルカバー、アンダーカバーなどに幅広く採用し、軽量化、低重心化を実現
- 左右に張り出したフロントバンパーと、後方に延長し絞り込まれた形状のリヤバンパーにより、Cd値は基準車と同じ0.26を達成
- SUPER GT GT500クラスに参戦するGT-Rレースカーに着想を得た6本スポークのレイズ製アルミ鍛造ホイールを装着
- ブリリアントホワイトパール、メテオフレークブラックパール、アルティメイトメタルシルバー、バイブラントレッドに、専用色として、その堂々としたエクステリアの力強さを最大限に表すダークマットグレーを加えた全5色をボディカラーとして設定
■インテリア
- 専用設計のRECARO製NISMO専用カーボンバックバケットシートを装備
- ステアリングホイールは、レッドセンターマークとレッドステッチ付きのアルカンターラ巻3本スポークを採用
- NISMO専用カーボン調コンビメーターを装備。タコメーターはレッドリング付き。メーターリッドにもアルカンターラを採用
- シート、センターコンソール、ドアトリム、ステアリングホイールにレッドステッチがあしらわれ、クルマの全体的な雰囲気にスパイスと感性を追加
■NISMO N Attack Package
日産GT-R NISMOは、正式発表前にドイツ・ニュルブルクリンクにて7分8秒679という、それまでNISSAN GT-R自身が持つベストラップを一気に10秒以上短縮するタイムを記録。「NISMO N Attack Package」は、このアタックの中で生み出された空力パーツを始めとした、足回り、インテリアなどの専用装備をパッケージ化した商品になる。
●NISMO N Attack Package専用装備
・カーボン製専用インタークーラーパイピング(Aキットのみ)
・専用ECM(両キット共通)
・専用前後LSD(フロント機械式1.5Way、リア機械式2Way、カーボンプレート。Aキットのみ)
・オーリンズ製専用ショック&スプリング(車高調整式、減衰力調整4WAY。両キット共通)
・ロール剛性可変式専用スタビライザー(両キット共通)
・専用フロントブレーキパッド(両キット共通)
・ドライカーボン製、フリック付専用カーボンフロントフェンダー(両キット共通)
・専用フロントアドオンスポイラー(両キット共通)
・ドライカーボン製専用カーボンリヤウイング(高さ調整機能付き(2段階)、角度調整機能付き(12段階)。両キット共通)
・RECARO社製、カーボンシェルタイプ専用フルバケットシート(Bキットは運転席のみオプション設定)
・後部座席廃止用キルティングクロスマット(Aキットのみ)
・ドライカーボン製専用カーボンリヤバルクヘッド(Aキットのみ)
2代目MY17(2016年8月発売)
2016年8月に発表・発売された「日産GT-R NISMO」の2017年モデルは、基準車の17年モデルをベースにNISMOのモータースポーツ活動で得られたテクノロジーをフィードバックしたモデルとなっている。日常走行でもスポーツ走行でも通用するパフォーマンスを徹底して追及し、全体のバランスを今までより更に向上し、コーナーの多い山道でも、サーキットでのレース走行と同じように力強い走りを楽しめるクルマへと深化を遂げている。
■エクステリア
- NISMO専用のカーボンファイバー製フロントバンパーカーボンファイバーシートを幾層にも重ねて精巧に作り上げることで理想的な強度を実現。カナード形状のデザインがもたらす空気の流れにより、ホイールハウス周辺の空気を吸引し、大きなダウンフォースを発生
- バンパーサイドの形状を最適化し、従来の空気抵抗及びダウンフォースの維持を実現
- エンジンフードは、剛性の向上により超高速域での変形を抑制し、卓越した空力性能を実現
■インテリア
- 新デザインのダッシュボードの上層部、ステアリングホイール、センターアームレストには、高品質のアルカンターラ®レザーを使用
- 赤のアルカンターラ®を中央部分に使用したNISMO専用のレザー仕様のレカロ製カーボンバケットシートを採用
■メカニズム
- 複数の車両情報システムを活用することで、路面状況や走行条件に対して適切なサスペンションの減衰力と、様々なドライビングシーンに応じた高レベルのコントロールを可能にするビルシュタイン・バンプトロニックにNISMO専用チューニングを採用
3代目MY20(2020年5月発売)
2020年5月に発売された「日産GT-R NISMO」の2020年モデルはレースの厳しい環境で磨き抜かれた技術を応用したことで、より研ぎ澄まされた性能を実現した1台となった。基準車から約30kgの軽量化を実現した。
■メカニズム
- 2018年のGT3レーシングカーから使用されている新型のターボチャージャーを採用
- NISMO用の新たなタービンブレードは、その枚数を減らすと共に最新の流体・応力解析を用い、形状を徹底的に見直すことで出力を落とすことなく、レスポンスを約20%向上
■足回り&ブレーキ
- 新開発のカーボンセラミックブレーキは、サーキットにおける高Gでの効きの良さと、一般道などでの低Gでのコントロール性の両立を実現。
- 新しい摩擦材のブレーキパッドを開発し、日常的な使用においても圧倒的な制動力と優れたコントロール性を実現
- 9本スポークが特徴の軽量かつ高剛性な鍛造アルミホイール
- 新開発のハイグリップゴムを採用すると共に、走行中の接地面積を最大化したハイグリップタイヤ
- 上記要素に対応した電子制御サスペンションのセッティング
■エクステリア
- ルーフ、エンジンフード、フロントフェンダーにカーボン素材を使用し、車両を10.5kg軽量化
- GT3レーシングカーを彷彿とさせるフロントフェンダーのエアダクトによってエンジンルームからの熱を逃がすだけでなく、エンジンルーム内の内圧を下げ、エアダクトの排出風によってフェンダー外表面の流速を下げることにより、表面リフトを減少させることによってフロントタイヤのダウンフォースを向上させた
■インテリア
- 新開発のカーボンシェルにコアフレーム構造を追加した高剛性RECAROシート採用。
4代目MY22(2021年8月発売)
2021年8月に発売された「日産GT-R NISMO」の2022年モデルには、NISMO専用カーボン製エンジンフードや20インチの専用レイズ製アルミ鍛造ホイール、高精度重量バランスエンジンパーツで手組みされたスペシャルエンジンを搭載された「NISSAN GT-R NISMO Special edition」が追加された。
5代目MY24(2023年3月発売)
2023年3月に発売された「日産GT-R NISMO」の2024年モデルには、基準車と同様にロントバンパーとリヤバンパー、リヤウイングに空力性能を向上させる新たなデザインを採用した。
■メカニズム
- フロントメカニカルLSD追加にあわせて4WD制御を最適化。フロントとリヤのトルク配分を緻密に制御することでコーナリング性能も向上
■エクステリア
- 新デザインのリヤウイングを採用
- 基準車に合わせた新デザインエアロパッケージ
■インテリア
- 専用RECARO製カーボンバックバケットシートを刷新し、車両との一体感、快適性の向上を図った