更新日時:2023/04/19
HMR(エイチエムアール)の栗原です。今回はお客様からご依頼された86(ZN6)のドライブシャフトOH作業をレポートしていきます。サーキット走行をメインに使われているそうで、ブローしてしまう前にオーバーホールをしておきたいとの事でご依頼頂きました。担当メカニックはムラマツです。
リフトアップをして各部をチェックをしつつドライブシャフトオーバーホール作業に入っていきます。ドライブシャフトに近づいていくと・・・ 右側のドライブシャフトですが、ブーツのすぐ後ろにあるデフマウントに何かがかなり飛び散ってテカテカしているのがわかりますね。 これはドライブシャフトブーツが切れてしまい、切れ目から内部に塗布されているグリスが外に飛び散ってしまっています。これを放置したまま走り続けていると、内部のグリスがなくなってスムーズな動作に支障が出ます。更に切れ目から水やゴミ・砂などといった異物が進入し、ドライブシャフト破損に繋がる恐れがあります。
何よりもこのままでは保安基準に不適合なので車検を取得できません。更に近づいてみると飛び散りがよりはっきりわかります。 左側はより広範囲にグリスが飛び散っていますね。早速作業に取り掛かるので、プロペラシャフトをリアデフから取り外し、左右ドライブシャフトとリアデフも降ろしていきます。手に持っているのはドライブシャフトブーツの遮熱板です。86/BRZはマフラーセンターパイプが左ドライブシャフトブーツのすぐ真下を通ります。その為、サーキットなどで高負荷な走行を行うと高温の排気ガスで熱されたセンターパイプの熱でブーツも熱くなり、ブーツの破損・グリスの劣化を引き起こします。この遮熱板はそれらを防ぐだけではなく、今回の様にブーツが破れてしまってグリスがセンターパイプに付着し、火災といった二次トラブルを防止してくれます。ドライブシャフトを取り外しました。 アウタージョイント(ホイール側)のブーツをチェックします。指で触れている辺りは細かなヒビ割れが多数みられます。 インナージョイント(デフ側)ブーツを外して内部のハブベアリングなどをみていきます。 ドロドロしているのはグリスです。この内側にボールベアリングがついたジョイントがあり、ボールベアリングが溝の中を前後し、スムーズに回転を伝達しています。グリスが少なくなったり、水分や異物の進入でこの動きが阻害され、正常な走行ができなくなる恐れがあります。グリスでドロドロになっていますが、こちらがベアリングです。 取り外したら、分解洗浄していきます。 ジョイント内の打痕や傷をチェックします。打痕の部分が凹んでいたり、ひび割れが発生しているこのジョイントは使用できません。ジョイントごとやドライブシャフト自体の交換が必要になってしまいます。今回は大きな損傷は無かったのでオーバーホールを進めていきます。 次にタイヤ側のアウタージョイントを分解していきます。 こちらもインナージョイントと同様にグリスがたっぷり封入されています。 分解出来たらインナー側と同様打痕のチェックをします。 分解したら丁寧に古いグリスや汚れを落としていきます。 ピカピカになりましたね♪ 今回はWAKO’S製のグリスを使用します。サーキット走行向けのハードタイプのグリスをオリジナルMIXして使用します。 今回交換するドライブシャフトブーツのキットです。 ベアリングにたっぷりとグリスを塗って 新しいブーツを装着していきます。 「これでもか!」みたいな量のグリスですが、常に高速回転するベアリングを長期間を保護し動作させるにはこれだけ必要なのです。 ベアリングも元の形状があやふやになるぐらいたっぷりグリスを塗布します。 これでドライブシャフトオーバーホールは完了です。 取り付ける前に降ろしたリアデフのデフサイドオイルシールを交換していきます。こちらもオイル漏れが発生しやすい箇所です。安価なパーツなのでドライブシャフト作業の際は同時に交換しておきたいですね。 そして取り外しの逆の手順でリアデフ、ドライブシャフト、プロペラシャフト装着し、リアデフオイルを交換します。最後にミッションオイルも交換します。 これで作業完了となります。Y様、この度は作業のご依頼ありがとうございました。またのご相談・ご依頼お待ちしております。
今回の作業費用ですが
・ドライブシャフトOH:59,700円
・ミッションオイル交換:12,100円
合計税込み79,000円でした。