更新日時:2025/11/20
HMR(エイチエムアール)のイシケンです。11月15日-16日に富士スピードウェイでS耐FINAL4時間耐久レースが開催されました。今シーズンは富士24時間にてクラッシュしたために、その後のオートポリス戦を欠場することになりました。富士24時間レース後すぐにトヨタさんへホワイトボディの注文を行い、8月上旬に納品されてボディはそのままオクヤマさんへ。NEWマシンは旧ボディの弱かった部分を考慮して、他のGR86でも実績のあるオクヤマさんにロールケージとボディ補強をお願いしました。10月中旬にボディが出来上がると、そこから約2週間でレースパーツを組込み、11月頭にシェイクダウンをしてレースウィークに臨みました。
シェイクダウンしかまだしていないマシンのため、水曜日から走り始めました。水曜日、木曜日はスポーツ走行枠となり一般車両もいる中での走行でしたが、水曜日の走り出し1本目からいきなり1分56秒台をマーク。これまでこんなタイム出したことがなかったので、とても順調な滑り出しでした。マシンの方はそれでも乗り辛い部分が多々あったため、そこから4本の走行枠を使いセットアップを煮詰めて行きました。
木曜日は午前中に2本のスポーツ走行枠と夕方に50分の専有走行枠が設定されており、午前中は決勝用のブレーキパッドとローターの焼き入れを行い、2本目は昨日のセットがどのくらいNEWタイヤの時に効果があるのかを確認するべく、予選SIMも含めてパフォーマンスチェックを行いました。アウトラップ→ウォーム→プッシュという流れで行きましたが、思うようにタイヤに熱が入らずに57秒台にとどまりました。少し突っ込み過ぎてしまったところはありましたが、タイヤへの熱入れが予選では課題になりそうなデータでした。
夕方の走行に向けては特にセット変更を行うことはせず、この走行から佐々木選手が合流するのでまずは現状のセットを確認してもらう感じで進めました。NEWマシンのフィーリングは概ね良好とのことで、まだ煮詰めたい部分はあるもののとても乗り易い感じとのことでした。この時点での課題は第3セクターのアンダーと100R出口やAコーナーなどの高速コーナーでのトラクション不足でした。まずはアンダー対策としてこのセッションの後半はフロントのスタビをいくつか試して終わりました。最後の方はほぼナイトセッションという感じで日が暮れており、決勝の最後の方も同じ時間帯なことを考えるとなかなかな暗さだなと。ライト類はその対策をしていないのでちょっと不安な感じでした。
日が明けて金曜日。この日は午前と午後にそれぞれ90分の専有走行枠が設定されており、午前中は昨日のフロントスタビのテスト結果を再度明るい時に確認という感じで、他のスタビも含めてテストしました。結果的には元のスタビが良さそうだというので戻し、午前セッションの最後にはNEWタイヤで佐々木選手にアタックしてもらいました。タイムは56秒6を記録し、午前セッションのトップタイムを記録して終えました。
午後は主にトラクション方向の改善に向けてダンパーセットを変更し、決勝用のロングも行ってデータをしっかりと取ることが出来ました。午後のセッションでは私がNEWタイヤでガソリンはそこそこ積んだ状態でアタックしましたが、56秒8をマーク。第3セクターで引っかかったので、56秒3くらいは出せる感触で終えました。Aドライバーのタイムとしてはこの時点はぶっちぎっていたので、予選に向けてはかなりの好感触で終えることができました。
また、佐々木選手が走っていた際にスリップをフルに使えたこともあって、227kmというST4クラスでは見たことのないトップスピードをマーク。他チームから何かやっているのではないかと疑われるくらい調子が良かったです。(エンジンは富士24時間で使ったままの中古エンジンで未開封のままです。24時間レースの時は216kmくらいしか出なかったのですが、トラクションが良くなったのかよく伸びました)
午後13時からスタートした予選。まずはAドライバー予選からです。昨日までのタイムを見るとトップタイムは確実で、佐々木選手から2位と1秒差をつけてほしいという要望をもらい、朝から入念に身体のウォームアップを行って予選に臨みました。アウトラップ→ウォーム→ウォーム→プッシュ→プッシュという流れでいきましたが、それでも右フロントタイヤが全然発動しない感じでした。それでも予定通りにアタックに入りセクター1は全体ベスト。ただ、その後のAコーナーで右フロントが温まっていなかったのか飛び出してしまいました。この周はアタックをやめてもう一度ウォームを入れてアタック。
ただ、全体的にうまくまとめることができずに57秒フラットしかタイムが出ませんでした。続いてアタックした周は57秒5というタイムで終えました。この時点でクラストップではありましたが、その後#66のロードスターRFに抜かれて2番手にドロップして予選が終わりました。
想定していた予選ではなかったですが、それでも2位で終えられたことは良かったのかなと思っていたら、なんと57秒フラットのタイムが4脱で抹消に。結局57秒5が正式なタイムとして採用されてクラス5番手になってしまいました。完全に失敗です。
続いてBドライバー予選では、右フロントタイヤの暖まりの悪さを考慮して、少しレーキをつけて臨みました。
入念にウォームを入れてアタックした佐々木選手も私と同じくAコーナーで飛び出してしまったので、やはりタイヤの発動に苦労している状況は変わらずでした。タイムは55秒9でクラス4番手。トップはシェイドレーシングで54秒台と1台だけ抜けていましたが、他の2台は0.1秒差の僅差の予選となりました。タイヤをうまく発動させられてウォーム1周でアタックできればタイヤの美味しいところを使えるのでもっと良いタイムを出せたでしょうが、シェイクダウンしてすぐのレースウィークと言うことを考えると上出来だったかもしれません。
ABドライバー合算での予選順位はクラス5番手となりました。
決勝は午後13時15分からスタートし、チェッカーは17時15分の4時間レースです。3回のドライバー交代義務があり、ST4クラスは給油ボトル2本以上入れる際はピットレーン滞在時間110秒が義務となります。金曜日の走行から燃費計算すると、給油ボトル2本以上入れるのは1回で済みそうで、うまく燃費走行をすれば給油ボトル1本を2回というピット戦略が取れそうでした。
スタートはフル満タンの状態で佐々木選手で1時間半~40分くらいの走行予定でスタートしました。
5番手からスタートしましたが、1周目には2番手までジャンプアップし、2周目にはトップに立ちました。その後#3のエンドレスGR86の菅波選手がいいペースで迫って来て2位へドロップしましたが、その後は抜かれることなく順調に1時間40分ほど走行してピットイン。
フルサービスを行い私にドライバーチェンジしました。ここまでの燃費は給油ボトル1本で残り2回行けるかどうか微妙なところでした。そのため、燃費をセーブしつつ、この後タイヤ2本交換やもしかしたら無交換ということも視野に入れて出来る限りスライドさせないように走りました。
ラップタイムは佐々木選手から毎ラップ0.5秒落ちくらいで走行ができ、2位のポジションを守ったまま60分のAドライバー最低運転時間を消化しました。
2回目のピットインでは、給油ボトル1本なのでピット作業でのロスタイムがそのまま全体のタイムへ影響します。タイヤは左側2本交換。Cドライバーの石森選手へ最速で交代し、給油してタイヤ2本交換しベストなタイムでピットをアウトしました。
このピットは完璧でした。石森選手も燃費とタイヤをセーブしながら走り2位のポジションをキープ。日が徐々に落ちて来てコース場は少し見え辛くなってきていました。
そんな中でも58秒~59秒台でラップを重ねて残り30分のところで最終スティントの佐々木選手へバトンタッチ。
燃費を稼いできたこともあり、最後も給油ボトルは1本で行けることになりました。ただ、この時点で3位を走っていた#66のロードスターRFは48秒差でもうピットインはすることなく最後まで走ります。そして、4位走行中の#60 ZENYAKU GR86とは60秒ほどの差。こちらも最終ピットインは終わらせていました。給油&ドライバーチェンジでピットインでのロスは58秒です。2本タイヤ交換をするとプラス10秒ほど。ということで、タイヤは無交換給油のみにしました。2位のポジションは明け渡してしまいますが、ギリギリ3位は守れるという状況でした。
しかし、ここでドライバーチェンジで大きくミス。佐々木選手が乗り込んだ際にシートベルトを巻き込んでしまって手間取り、ベルトもスムーズに装着ができず、さらにはセーフティネットを取付け忘れそうになってドアを閉めた後に取付けることになるなど、結局通常よりも30秒近くロスしてしまいました。戻ったポジションは5位。前との差は30秒。タイヤ交換をしていないためペースは上がらず逆に離されていく一方でした。
ペースが上がらなかったのはタイヤだけの問題ではなく、実は後方がほぼ見えていない状況だったのです。最初のスティントの際に右ミラーが割れてしまいました。左ミラーはロールケージが重なってほとんど見えないので、左はカメラで後方確認、右は見えないのでルームミラーで確認という感じで私も石森選手も走っていました。明るい時はそれでも走れてはいましたが、暗くなるとカメラではライトで距離感は全くわからなくなり、ルームミラー以外後方を確認するすべがなかったのです。4クラスが一番遅いクラスになるため、後ろを見ながら走る必要があるにも関わらず後方が見えないという状況ではペースを上げることも難しかったのだと思います。
そのような状況の中でも無事マシンをチェッカーまで届けてクラス5位で終えました。表彰台を狙えるポジションで走っていたのでとても悔しい気持ちでしたが、十分にNEWマシンの戦闘力を確認できたレースでしたので、来年に向けてはとても希望が持てるレースだったのかなと思います。
今年は富士24時間レースでのクラッシュで1戦欠場というシーズンでしたが、1年間応援いただいたスポンサーの皆様、応援いただいたファンの皆様に感謝申し上げます。
来年に向けては更に戦闘力を上げて、常に上位を争えるマシンとドライバーで臨みたいと思います。
1年間ありがとうございました!!











