更新日時:2025/10/02
こんにちは。HMR広報の小川です。今回紹介するR35 GT-Rは、それまでの「スカイラインGT-R」という伝統から独立し、「日産 GT-R」という単一の車種としてゼロから開発されました。そのコンセプトは、「誰でも、どこでも、どんな時でも、最高のスーパーカーライフを楽しめる」というもの。デビュー当時にわずか777万円という価格で、ポルシェをはじめとする世界の超一流スーパーカーが持つニュルブルクリンクのラップタイムを更新したニュースは、世界中に衝撃を与えました。まさに、日本の技術力が生んだ金字塔と言える一台です。
R35 GT-Rのデザインは、単なる格好良さだけでなく、そのすべてが究極の走行性能のために計算され尽くされています。究極のエアロダイナミクス Cd値0.26(初期型)という優れた空気抵抗値を達成しながら、高速走行時には車体を路面に押し付ける強力なダウンフォースを発生。ボディ下面のフラット化など、見えない部分にまで徹底した空力処理が施されています。
エッジの効いた未来的なフォルムの中に、GT-Rの象徴である「丸目4灯テールランプ」を継承。誰が見ても一目でGT-Rとわかる、力強いアイデンティティを放っています。
R35 GT-Rは、サーキットでの速さだけでなく、日常での快適性も追求した「マルチパフォーマンス・スーパーカー」です。本革を多用した設えは、スパルタンだった第2世代GT-Rとは明確に一線を画す高級感があります。これは、大人が日常から使えるグランドツアラーとしての一面も重視した、R35ならではのキャラクターです。
メーター中央には、ゲーム「グランツーリスモ」の開発チームがデザインした専用ディスプレイを搭載。水温や油圧はもちろん、ブースト圧や前後左右のG(加速度)まで、走りに必要なあらゆる車両情報をリアルタイムで確認できます。
センターコンソールにあるスイッチ一つで、サスペンションの硬さ、ミッションの変速スピード、VDC(横滑り防止装置)の介入度を瞬時に変更可能。サーキットでの本気の走りから、街中での優雅なクルージングまで、この一台で全てをこなします。
GT-Rの心臓部には、まさに名機と呼ぶにふさわしい「VR38DETT」エンジンが搭載されています。進化を続けるパワーユニット 3.8L V6ツインターボエンジンは、2007年のデビュー時に480馬力を発揮。その後もイヤーモデルごとに改良が続けられ、2025年モデルのNISMOでは600馬力にまで到達しています。
このエンジンは、日産の横浜工場で「匠」と呼ばれる限られた熟練職人が、クリーンルーム内で一台一台手作業で組み立てています。その証として、エンジンには組み立てを担当した職人のネームプレートが輝きます。
1000馬力超も受け止める圧倒的なポテンシャルはノーマルでも超高性能ですが、このエンジンの真価はその強靭さにあります。適切なチューニングを施せば1000馬力を超えるパワーも受け止める、まさにモンスター級のポテンシャルを秘めています。
「重すぎる」という批判は、R35 GT-Rの革新的なメカニズムの前では意味を成しません。理想的な重量配分を生む「独立型トランスアクスル4WD」 GT-Rは、エンジンをフロントに、そして重いトランスミッションとトランスファーを車両後方に配置する世界初のレイアウトを採用。これにより、重量級のボディでありながら、スポーツカーの理想であるほぼ50:50の前後重量バランスを実現しています。
異次元の安定感を生む「アテーサE-TS」 。専用開発された四輪駆動システムは、驚異的なグリップ力と安定性を実現。停止状態からアクセルを全開にしても、電子制御がタイヤの空転をほぼゼロに抑え、凄まじいパワーを余すことなく路面に伝達。その結果、0-100km/h加速は最速モデルで2.7秒という、目が追いつかないような異次元の加速を可能にしています。
R35 GT-Rは、第2世代までの「スカイラインGT-R」とは異なるアプローチで、世界基準の速さと快適性を両立させた「新しいGT-R」です。「重い」「スカイラインじゃない」という批判は、このクルマが成し遂げた革新性と、新たな価値を理解すれば、的外れであることがわかるはずです。その圧倒的な性能とコストパフォーマンスは、まさに日本の技術力の結晶と言えるでしょう。