更新日時:2025/05/01
HMR(エイチエムアール)のイシケンです。先月開幕した今シーズンのスーパー耐久ですが、前回が2レース制だったため早くも3ラウンド目を迎えました。場所は聖地の鈴鹿サーキット。今シーズン初の全クラス混走のレースになります。鈴鹿に向けては主にダンパーを見直してきました。今シーズンはアペックスさんと一緒にダンパー開発を行っており、もてぎ戦の後に打合せを行って仕様を決めてこの鈴鹿へと持ち込みました。また、バンプラバーについても数種類を持ち込み、新たなダンパーとの組み合わせで何が良いのかをフリープラクティスでチェックしていくというプランで進めて行きました。
木曜日、佐々木選手を中心としてフリープラクティスでの走行がスタートしました。まずは新たなダンパーの仕様がどうなのかのチェックから入り、減衰力を硬い方に振ってみてのデータを取りました。この鈴鹿にはストロークセンサーを装着してきたので、データをチェックしてセット変更がどのようにデータに現れているのかがチェックできます。1本目の走行ではそれらのデータもしっかりと取得でき、2本目の走行に向けてセット変更をしてデータをチェックという流れで進めようとしたら、ストロークセンサーが壊れました。。。初めて装着したのですが、取付け位置含めて見直さないとです。
ということで、初日にいきなり大事なセットアップツールを失ってしまい、結局これまで通りフィーリングでセットをしていくこととなってしまいました。初日のタイムは2分24秒7くらいで、他のマシンはNEWタイヤで21秒台、USEDでも23秒台で走行しているので、1秒ほど遅い状況で初日を終えました。
2日目に向けてはリアのバネレート上げて走り出しました。鈴鹿はリアで曲げて行きたいコースでもあり、初日はリアの沈み込みが大きくプッシュアンダーが強めでした。これを解消する目的でリアのバネレートをアップして走り出しましたが、最初のフィーリングとしては少し硬いかなという印象。ただ、昨日よりは高速コーナーは乗り易くなっているとのこと。タイムは2分24秒5ほどで昨日より0.2秒ほどのタイムアップで劇的に良くなったという感じではありませんでした。
その後NEWタイヤを投入してパフォーマンスチェックを行いました。タイムは2分22秒4。他のマシンは20秒台に入っているマシンもあるので、パフォーマンスとしてはまだまだという状況でした。
目に見えてタイムを落としていそうなところがトップスピードの伸び。鈴鹿サーキットの計測ポイントである130R手前で200kmに行くか行かないかというスピードで、速いマシンは204kmも出ていました。これはスプーンコーナーからの立ち上がりのトラクションが問題で、各ドライバーここのトラクションがかなり悪いというフィードバックでした。その結果としてトップスピードが伸びていないという状況でした。
ここの問題を解決する上ではリアのバネレートアップの方向ではなく柔らかい方向に振った方が良さそうだということで、リアのバネレートは元に戻し、それ以降はダンパーの減衰変更とバンプラバー、パッカーの組み合わせのテストを繰り返して行きました。この日は特にそれ以上のタイム更新はなく進み、午後の2時間の走行枠ではAドライバーである私の慣らしを兼ねてロングの走行を行いました。
土曜日は午前中にフリープラクティス1時間の後、午後14時から予選というスケジュールでした。午前中のフリープラクティスでは、昨日から更にダンパーセットとバンプラバーを見直して走り出し、USEDタイヤながらも2分24秒0というタイムを記録しました。もちろん他の車両と比べるとまだ遅いのですが、確実にタイムアップしておりドライバーからのコメントも良い感じでした。トップスピードもようやく204kmまで来たのでトラクション方向も改善している状況でした。あとはコーナーのミドルから出口にかけてアンダーが顔を出す感じで、ここの調整をして午後の予選に臨みました。
14時からスタートしたAドライバー予選。アウトラップ→アタック→アタック→インという想定でコースイン。前で引っかかりそうなのは数台の5クラスと4クラスのスイフトくらいで、これらをアウトラップでパスすればクリアにアタックできる感じでした。ただ、5クラスのロードスターがピット出口で急に道を譲ろうとしてスローダウンし始め、ホワイトラインカットしたくないのでスピード落とすしかなく前のスイフトとは差が開いてしまいました。アタックラップに入るまでに抜いておきたかったのでアウトラップからある程度プッシュせざるを得ない状況となり、少しタイヤを使ってしまいました。
無事スイフトと5クラスのマシンはパスしてアタックに入り、このレースウィークで初めてのNEWタイヤと軽いガソリンでのマシンでしたが、精一杯のアタックをしてタイムは2:22.896でクラス4番手となりました。トップは20秒台、2番手と3番手は21秒台でした。この順位はこのレースウィークのタイムを考えるととても良く、マシンのフィーリングもそこまで悪い感じではありませんでした。ただ、プッシュするとコーナーの奥の方でアンダーが出ていたので、Bドライバーの佐々木選手がアタックするとよりこのアンダーが強く出る可能性があるなと感じた予選でした。
Bドライバー予選に向けてはこのアンダー対策でリアにパッカーを追加して臨みました。佐々木選手のアタックで2:21.853を記録。多くのマシンが20秒台ということもありクラス7番手となり、ABドライバーの合算でもクラス7番手の予選となりました。やはりアンダーが強い傾向で、その後1台が車検に失格となり6位にポジションアップしました。
Cドライバー予選ではいくつかセット変更をして石森選手が確認も含めてアタック。ガソリンは決勝想定である程度積んでの走行で2:23.235を記録。フィーリングとしてはアンダーは変わらずでした。決勝に向けてこのアンダーをどう消すのかが課題となり、夜遅くまでメカニックとドライバーでバンプラバーの組み合わせについて打ち合わせをしました。
いよいよ決勝日。賑やかなピットウォークを終えてすぐにグリッドへ。スタートドライバーは私が担当。予定ではその後佐々木選手→石森選手→佐々木選手という順番。今回は5時間レースで特に何もなければスプラッシュ(給油ボトル1本だけ入れる)はなく、毎回給油ボトル3本とタイヤ交換の予定でした。ただ、FCYやSCが多く入ると燃費が稼げるのでもしかしたらギリギリスプラッシュが出来る可能性が出てくるかもということで、グリッドまでの試走は2千回転くらいの超燃費走行をしました。
グリッドについたらいつも通り恒例の写真撮影と動画撮影を終え、11時から5時間のレースがスタートしました。前を走る#18 Wedssport GR86は早めにパスをして、#60と#884についていくというのが私のプランでした。予定通り3コーナーで#18はパス出来たのですが、1コーナーで#18を抜いた#60は私が抜いた時にはそこそこ離れてしまいました。
ただ、#884はAドライバースタートだったので#60はすぐに詰まることになり、その間に追いつけるのではと期待していましたが、詰まったのは詰まっていたのですが、#884のペースは私よりも速かったためその差は開く一方でした。レース開始から40分を経過したタイミングでST5クラスのロードスターがシケインでクラッシュ。FCYが導入されました。約2周に渡ってFCYが導入されたのですが、ピットレーンスイッチでいつもは走るのですが48kmしか出ず上り坂では46kmまで落ちてしまい、50kmの速度制限に届かず後ろからはグングンと近づいてくる状況でした。
そんな状況だったのでスイッチを切り、アクセルペダルで合わせて少しでもタイムを縮めようと試みました。これが後でペナルティとなりFCY中の速度違反を取られ、次に交代した佐々木選手の時にドライブスルーをする羽目になりました。やはり自分でギリギリをコントロールするのは難しいですね。FCYが明けてから佐々木選手に交代するまでの間にも2回FCYが出て、本来であればAドライバーの乗車義務時間である75分でピットインする予定でしたが、燃料タンクがそこまで空いていなく100分のロングスティントとなりました。最後の方は燃料が軽くなりFCYでタイヤが冷えたこともありとても乗り易くて楽しかったです。私のベストタイムもこのタイミングで記録しました。
34周目にピットインして予定通り佐々木選手に交代。タイヤ4本をNEWに交換してピットアウト。ピットイン前は前を走る#884との差は20秒ほどでしたが、ピットアウトしたら50秒も開いていました。どうやらピット作業が大きく遅れたとのことでした。後でビデオを見返すとタイヤ交換に手間取ってしまっていましたね。
佐々木選手は68周まで走り、途中私のFCY速度違反のドライブスルーペナルティを消化するなどで順位を落とすも、周りの車両もトラブルやペナルティで順位を落として、結果としては5位をキープしていました。石森選手に交代してからもFCYが何度も導入され、途中から最後の給油をボトル1本で行けそうなくらいまで燃費を稼げていたので、石森選手には途中燃費走行をしてもらいました。
97周でピットインして最終スティントの佐々木選手に交代。スプラッシュでも行ける燃費ではあったのですが、スプラッシュをしても前を抜くことは難しいタイム差だったので、安全に2本給油してタイヤはキープでピットアウトしました。プッシュしても仕方ないのでチェッカーまでトラブルなくマシンを運ぶことに集中して、午後17時にクラス5番手でチェッカーとなりました。
前回のもてぎではブレーキトラブルに泣きましたが、今回は特にトラブルもなくしっかりとレースが出来ました。順位は5位となかなか上がらないのは変わらないですが、確実にマシンはポテンシャルを上げてきており、チェッカー時のタイム差も縮まっているので、やってきていることは間違っていないと思っています。もう少しセットアップが煮詰まればドライバー3名のタイムにそこまでの差もないので表彰台も見えて来たなという感触を持って終えられました。
次戦は富士24時間です。このレースでは佐々木選手以外はドライバー陣ががらりと変わり、ジェントルマンドライバーとS耐初の若手という組み合わせになります。扱いやすいマシンに仕上がってきているので、安心して楽しんで24時間レースを戦ってもらえたらなと思っています。
引き続きHMR Racingの応援よろしくお願いします!!